Last Magic-4
めちゃくちゃかっこいいわけじゃないけど、アズマはモテる。
目立つし、背高いし、愛想いいし、たまに優しいし。
雰囲気かっこいいてやつ。
高校最後の学祭も、アズマはいっぱい告白されるのだろうか。
誰かと付き合ってしまうのだろうか。
「あ!しまった!」
私はベタにおでこをペチッと叩く。
落書きをしていたアズマも手を止めた。
「どうしたん?」
「備品借りる申請書、生徒会から貰おう思ってたのに忘れた」
「わ〜お」
「はぁー。生徒会の人らはまだ学校いるやんな?」
「いるいる。いつも遅くまで残ってるし。てか、俺が貰いに行ってきたる」
そう言ってアズマは立ち上がる。
私は漫画みたいに目を丸くした。
「まじで?!どうしたん?!」
「何が?」
「面倒くさがりなアズマが行ってくれるなんて、珍しいやん!」
「わははっ、優しいやろ?」
「感動っ!」
「その代わり、ミナミはアピール文考えといてや」
「分かった!」
ニッと笑みを見せると、アズマはポンと私の頭に手をのせてドアの方へ向かった。
教室のカーテンがふわふわと風に揺れる。
私の心みたいに。
去年の学祭は、先輩後輩問わずアズマはいつも女の子たちに囲まれていたっけ。
だから、今の時間が続けばいいのにと思ってしまう。
「あ、それと」
ドアを開けたアズマが急に足を止めた。
そして顔だけをこちらに向ける。