Last Magic-3
「チラシに載せるクラスのアピール文」
「"クールで薄情で、でも愉快な仲間たち"?」
「ふはは、ほんまにそれ書いとく?」
他のクラスの教室はまだ賑わってるのに、うちのクラスの連中は誰1人残らずさっさと帰った。
本当、薄情だ。
土壇場になって頑張るクラスだ、なんて言う担任も緩い。
アズマを筆頭に、盛り上がり方は校内一のクラスだけど。
向かい合って座るアズマは、鼻唄を歌いながら紙に落書きをしている。
「ミナミは学祭マジックてあった?」
アズマは視線をペン先に落としながらそう聞いてきた。
学祭期間は男女の距離がぐっと近まって、恋愛事情が急速に動く。
これを機に告白する人も多く、学祭後はカップルだらけだ。
それを学祭マジックと呼んでいる。
「学祭マジックね〜、あったんちゃう?」
「ミナミ実は美人やもんな」
「…実はって何さ」
「わははっ」
夕陽の差し込む放課後の教室に二人きり。
ちょっとロマンチックかも…なんて思ったり。
ちらりと目の前に視線を向けると、アズマはのんきにあくびをしている。
一気にムードを壊された。
つられて私まであくびをしてしまう。
アズマの香りに包まれてると心地良い。
「…アズマは?」
「んぁ?」
「学祭マジック」
「あ〜、いっぱいあった」
「ふーん」
「でもそれで付き合ったことはないな〜」
「……ふーん」