登下校を、御一緒に。-16
ずるり…
佐伯くんが離れていく。
「…ぁぅん…!」
あたしは、声を上げてその場にへたりこんだ。
…佐伯くん、ちゃんと考えてくれたんだ。
そうだよ、激しい愛撫の時だって、髪をつかむ指は優しかったね…。
横で、佐伯くんが"処理"をしているのを感じながら、あたしはそんなことを考えていた。
痴漢から助けてくれたのが、この人で良かった。
痴漢はイヤだったけど、色んな偶然でここまで来た。
さっき、勇気を出して電車を降りて良かった。
この人を、好きで良かった。
佐伯くんは、自分の衣服を整えると、いまだ乱れた制服と、乱れた呼吸のあたしを見て、苦笑しながら寄って来た。
「大丈夫か、結衣」
そして、彼はあたしのセーラー服を整えながら、こう言ってくれた。
「あ、勝手に名前で呼んじゃってごめんな。
でも、その…色々順番逆になっちゃったけど。
オレと付き合ってください。」
あたしも、慌てて答えを返す。
「はい、ぜひっ!
…あのっ、名前で呼んでくれてイイから…うぅん、名前で呼んでほしい!」
「ありがと、結衣!
オレのコトも名前で呼んで!
結衣…好きだよ」
「うん!あたしも大好き、昭人!!」
そして、あたし達は付き合い始めた。
あの日、その後は無事に学校に着いて、先生には、
「痴漢にあった後、具合が悪くなって佐伯くんに付いててもらった」
と誤魔化した。
もちろん、学校に着いてあたしが直行したのは、保健室。
ブラは、ホックが取れただけだったので、なんとか直りました!
おかげで、帰りも佐伯くんと帰れたし。
と言うより、
「痴漢が心配だから、今後は必ず一緒に登下校する」
って、言われちゃいました。
そのせいで、親友の亜紀子はあたし達のこと、ラブラブだと思ってるみたい。
もちろん、ラブラブなんだけど。
ただ、1つ問題が…
「ぁっ、あぁん!昭人…そんなにしないでぇっ…!」
「マゾの結衣は、こういうのが好きだろっ?
次は目隠しにする?それとも縛ってみる?
…淫乱結衣ちゃん?」
「やだよぉっ、はぁん!
昭人ぉ…イッちゃうぅーーっ…!」
あれから昭人には、えっちの時に毎回いじめられてしまうんだけど…
あたしは、マゾでも淫乱でもありません!!
…たぶん。
―――終わり