第2話『まりあの「ま」はアクマの「魔」』-1
第2話『まりあの「ま」はアクマの「魔」』
―― どーしてそーゆーコト言うのに、おまえはそんなキラッキラの笑顔なんやって・・?
(おっきいため息)
それは例のあの日から少しした、ある昼休みのこと。
「男の人が射精してるとこ見たーい!」
だなんて突然、まぁが瞳を輝かせ言い出した。
(ぶはっ!)
俺は思わず食っていたものを噴き出していた。
「しゅーちゃん、キタナイよ」
と、散らばったメシ粒をひとつ摘んで俺の粗相をとがめるも、ぜんぜん冷静なまぁ。そして一方、動揺しまくりな俺。
「おまっ・・。」
―― だーかーらーな、おまえな! こんなところで(けっこう人のいた昼休みの教室のど真ん中)、
・・頼むから、ちょっとは羞恥心というものを持ってくれ。それに、
―― それって、かなり恥ずいやろっ!
まぁの底知れぬ勢いと、怒濤のような快感に流されまくって、前回イタしちゃっていた俺だったが、そんな俺でも思わず絶句してしまうぐらい、それは破壊力のある一撃だった。
―― それに順番が完全に間違っているっ!
なにもかもが間違ってる!
俺は心の中で全力のツッコミを入れていた。
まったく、いろいろ思いついてくれる・・・。
はじめてが『うしろ』でセックスで、そんでその次、今回はなんと射精見学ですかっ?!
玩具代わりにカラダを提供してやった、コッチの身にもなってみろってんだ!
(・・・まあ、最終的には俺も気持ちよくしてもらったんだが、)
しかしその肉体的、精神的ダメージたるや・・、HPとMPの消費率がハンパない。
「さあ、いつにする?
これってなんだかすっごいドキドキするね。しゅーちゃん的にも新しい冒険がはじまるってかんじ?」
なんて、無邪気におどけてみせるまぁ。
―― おまえは某アミューズメントのキャストさんかっつーのっ!
・・・母さん。世間では大人の社会科見学なんてものがブームになってるらしいですが、コレはいったいなんなんでしょうか?
まりあがあっちに行っているあいだに読んだ小説に、たまたま『まりあ』という名前(考えたら、まりあなんてよくある名前やな)の主人公が出てくるのがあった。
そんでその本の『まりあ』が、自分は聖母マリアの名にふさわしくないと嘆いている・・、というくだりがあったのだが、今思えば、あっちの『まりあ』の方がよっぽど『マリア』らしいというものだ。
コイツが聖母と同じ名前だなんて、精神衛生上も絶対なにかの間違いだ。