投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

龍之介
【姉弟相姦 官能小説】

龍之介の最初へ 龍之介 24 龍之介 26 龍之介の最後へ

龍之介・参-6

<2004年2月・・・葵18歳・龍之介17歳>


「有ったわよ葵!ほらあそこ!やったわね!」
「どこ・・・?無いよ」
「有るって、ほら。もう一回見てみなさい」

母さんに言われてもう一度羅列された番号を目で追ってみる。
・・・前の前の前、前の前、私の前、私の後・・・ん?あれ、私の番号、ある。有った!

「やったね母さん!!私、受かったんだ!」
「無いはずないでしょ。あんなに頑張ったんだから、受かってなくちゃ」

掲示板のあるキャンパスを見回して、春からはここに毎日通うんだと考えてみた。
でもまだ実感がない。今日は休みで学生が歩いてないから、いまいちイメージが湧かないのかもしれない。

「嬉しい。やばい、ホント嬉しい。頑張って良かった」
「夏休みもずっと机に向かってたからね。葵、よくやった。あんたは自慢の娘よ」

自分の番号を見たら足元から熱が上がってくる、そう先生に教わった。
場所は違うけど言われた通り体がぽかぽかして、かすかに震えていた。

(やったんだ、私。ひとつの目標を越えたんだね。これで先生に一歩近づいたんだ・・・)

まだまだ夢は遠いけれど、自分の力でそれを少し近くに引き寄せた事を実感する。

友達に片っ端から電話をして一人ずつ報告し、喜びを分かち合う。
私と同じ気持ちになってくれたら嬉しいな。

「次はアパート決めなくちゃ。受かってからでいいって思ってたけど、やっぱり遅かったかな」
「はいはい、そんな焦らないの。取り敢えず今日は喜んどけばいいのよ」

母さんに頭をぽんぽんされて、自分が少し焦っていると気付かされた。
実家からだと2時間はかかるので、通う為には近くに家を借りた方がいい。

でも、まだ受かっただけだし、手続きだってこれからだ。
下見するのだって時間は必要だしすぐには決められない。

母さんの言う通り今日は全力で喜ぼう。

「お父さん喜ぶわよ、きっと。泣いちゃうかもね」
「全然気にしてなさそうだったけど・・・」
「ああ見えていつも心配してたのよ。ほら、こないだあげた御守り、あれ父さんが買ってきたの」
「前もあった気がする、確か高校入試の時・・・忘れてた、いま思い出した」

帰りの電車の中で沢山話した。
話したい事がいっぱいあって、口ひとつじゃ消化しきれそうに無い。

「それでさ、あの時はすごい熱出ちゃって、明日どうしようって思った」
「思わずお祈りしちゃったもんねぇ。大事な予備校のテストを受けられない、どうしようって」

電車から流れる景色を見てると、寂しさが込み上げてくる。
春からはこうして地元の友達や家族と過ごす時間が少なくなる、そう思うと、胸が苦しくなった。



龍之介の最初へ 龍之介 24 龍之介 26 龍之介の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前