プレデター姉貴ラスト-4
「なぁ…智樹…」
姉貴がポツリと言った。
「な…なに?」
「ありがとな…」
びっくりする程優しい姉貴の言葉だった。
「やだな…改まって…」
僕は照れ笑いを浮かべた。
「いや…私も来週中にはジャマイカ戻るから…」
そうだ…。
姉貴は勉強中のジャマイカから一時帰国中だった。
「…きゃいいじゃん」
「え?」
僕は泣き出す寸前だった。「行かなきゃいいじゃん!」
僕は堪えきれなくなって姉貴に抱きついた。
「私の夢だ…行かない訳にはいかないよ」
「で…でも…」
僕は遂にグシャグシャに泣き出していた。
「泣くな…男だろ…」
姉貴の声はこの上もなく優しい。
僕はただ…泣きじゃくるだけで言葉にならない。
「私は夢を叶えて帰ってくるから、おまえは男を磨いていろ…」
姉貴の声も鼻にかかった涙声になっている。
僕は姉貴の肩からそっと顔を上げた。
姉貴の大きな瞳からもボロボロと涙が溢れていた。
「姉ちゃん…」
「なっ…智樹…」
姉貴はニッコリと微笑むと力強く頷いた。
薄暗い車内で姉貴の柔らかい唇が僕の唇に重なった。
僕は姉貴の身体をしっかりと抱きしめた。
今だけは…こうして姉貴を抱き締めていたい。
大好きだよ…姉ちゃん。
完