龍之介・弐-4
(・・・いない、よな?でも、ああっ、う・・・はぁあ)
姉さんがしているなんて考えたくなかった。
自分が気持ち良さを求めて、鼾をかきながらやってるうちに目が覚めた、そう思いたかったのだ。
目蓋は怖くて開けられなかった。
出来ればこのまま朝まで開けられない、そうなるのを願う。
(あっあっ・・・うぁあぁ、激しくなってるぅ!ちょっと待って、やめてくれ!)
俺のものを包み込む感触がやけに熱を帯びている。
たぶん、ジャージの上からじゃなくて、脱がして直接扱いてるのかもしれない。
怖い、怖い、怖い。
怖くて目の前にいる人を見る事が出来ない。
きっと俺は寝てると思ってるかもしれない。だから、息が乱れたら気付くかも・・・
(くっうぅ・・・やばいぃ、腰がしびれ、て・・・はぅん!)
いつも自分でしてる時でも、気持ち良さのあまり声が出てしまうのに・・・
当たり前かもしれないけど、他人がやると自分とはまるで感覚が違うんだな。
興奮したら力を入れたり、焦らす時は弱めたりする。自分の具合が分かるから、調整出来た。
でも、相手は見てるだけじゃ俺がどんな様子なのか細かくは分からない。
だから・・・まるで予測出来なくて、刺激がたまらなく俺を熱くさせていった。
(ぁ・・・やばい、やめて姉さん、もうこれ以上は駄目だよ、本当に!だ、駄目だってば、あ・・・あっああああ!!)
いくら心の中で叫ぼうが声にしなければ伝えようが無い。
俺は、欲望をそこから吐き出してしまった。
初めて、自分以外の手で−
(くぁ・・・う・・・)
また急に眠気が襲ってきて、意識が睡魔に支配されていく。
「・・・!!」
次に意識が戻ったのは目覚ましが鳴る直前だった。
いつもなら目覚ましに勝ったと朝から気持ちが高揚するだろうが、それどころじゃない。
慌てて下半身を確認してみた。
「あれ?!変だな、昨日・・・確かに・・・」
・・・ちゃんとジャージを履いていた。
確か、脱がされて直接扱かれた様な感じがしたんだけど、あれは気のせいだったのか?
何より、汚れていなかった。すぐに意識を無くしたけれど、汚らしいものを吐き出してしまったのは覚えている。
寝ている状態で上に出したら、必ず自分の体にかかるはずだ。
天に向かって唾を吐いたら顔にかかるのと同じく・・・