生徒会へようこそ【MISSION4:幽霊の謎を解明せよ!】-1
ゆっくり扉が開くと、そこには蒼白な顔をした男子生徒が立っていた。
「あ、あの…生徒委員会って生徒の為に動いてくれるんですよね…」
消え入りそうな声で肩をすくめる男子生徒。僕は彼を知っている。
「紅?どうしたの?」
神坂 紅之助。僕の幼なじみで親友だ。
もしかしたら誤解されてそうだから言っておくけど、少なからず僕にも友達はいる。その一人が紅だ。
ただ相性が悪かった。
紅は生まれながらにして人を惹きつけるような人間だった(主に女子)。
幼稚園のころから、いつもクラスの中心で彼の周りに人は耐えなかった(主に女子)。女の子フリークの格好付けたがりというマイナス面を差し引いても、彼はいわゆる人気者で、人見知りな僕は紅の背中に隠れてしまう。紅が光なら僕は影。
要は紅と連んでるせいで、元々地味な僕は更に霞んでしまっていた。
ちなみに前回、僕を一番初めに『空気』と呼んだのは彼だ。
…前言撤回。彼は僕の悪友だ。
「ユン、俺…」
紅が泣きそうな声で僕を見ていた。
ちなみに紅は僕をユンと呼ぶ。小さな頃に「ユウ」という名前を間違って「ユン」と覚えてしまったと本人が言っていた。
僕はナニ人だ。
「あー、紅之助ちゃん!優ちゃんのお友達だったんだぁ」
小鞠さんがヒラヒラと手を振る。小鞠さんの1年男子アドレス網羅計画は順調らしい。
「ようこそ、1年坊主。どうした?悩みか?俺らに言ってみろ」
オッさんが腕を組んで机の上であぐらをかいている。
落ち着きが無い様子で瞳を動かしながら、紅は小さく口を開いた。
いつもの紅らしくないな。
「あ、はい…。…あの…俺、見ちゃったんです」
紅は何かに怯えてるのか、小さな声が震えている。
「見た?何を見たのだ?」
普段の紅なら「宝 寿絵瑠だーっ!」とハシャぐところなのに、一度ちらりと宝さんを見ただけでまた目を伏せてしまった。
紅の唇がポソリと言葉を紡いだ。
「……幽霊」
はい?
「ユーレイ?」
僕ら五人の声が重なった。
「あーっ!ユ、ユン!お前信じてないだろ!!」
必死な形相の紅が、僕の肩を掴んで揺する。
幽霊って…あの幽霊だよね。
「え、うん…そりゃあ」
ただ漠然と幽霊と言われても…。しかも、幽霊って…どうなの。