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生徒会へようこそ
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生徒会へようこそ【MISSION4:幽霊の謎を解明せよ!】-9

結局、僕らはその人を見つけることが出来なかった。
むしろ、僕たちが警備員さんに見つかり、さっさと帰るようにと叱られたのだ。

「オッさんの鍵は一つだけなんですか?」

「今は一つだけだな」

外はもう真っ暗で、廊下にも電気は灯っておらず、僕たちの声が反響した。
職員室の方から漏れる灯りだけで、僕らは玄関まで向かわなければならなかった。
玄関に向かうにつれて闇は増す。

「そっかぁ。その鍵はいっつも肌身離さず持ってますもんね?」

「おーよ!無くしたら先代の先輩たちに呪い殺されちまう」

「先代って…。オッさんの前には誰もいないでしょうに」

うちの学校、実は3年前までは無かったのだ。しかし、この土地に高校はあった。
隣合う男子校と女子高が統合して繚乱高等学校という名前の共学校になり、女子高の跡地に新しい校舎を建てたのだ。旧校舎は、その女子高だった頃の名残だ。
オッさん達は統合してから最初の一年生にあたる。
そして一年生を中心に今の委員会制度が取り入れられたらしい。2・3年生は共学になっても、女子棟と男子棟に別れていたとオッさんが言ってたし、それぞれの学校が今までのやり方で高校生活を送っていたから、学校全体がバラバラだったとも言っていた。
同じ高校の中に三種類の制服の生徒がいて、不思議な感じだったと思う。
ちなみにこの間、おばあちゃんのことで神楽さんの家に制服で行ったのに、どこの高校か気付いてもらえなかったのはこのためだ。
まだ3年しか経っていないものだから、地元にもまだ溶け込んでいないんだと思う。
話が脱線したが、オッさんはこんなんでも生徒委員会初代委員長ということになる。

「ヘッ、そうだな」

「合い鍵とか無いんですか?ホラ、本校舎の方の鍵庫にはそれぞれの教室の鍵と、スペアキーがあるのに…」

「それは開かなくなったら困るからあんだろ」

何て短絡的な考え…。

「旧校舎は元々取り壊す予定だった。それが、物置的な要素とか、いざという時の為の空き教室とか、そういうどうでもいいような理由で残ってんだ。
今更鍵が無くなろーが、開かずの間になろーが別に構わねんだろ。
実際、委員会では俺たち以外に使ってねぇし、授業でも使った試しがねぇ。
そんな校舎なんだ。鍵が一個になったって困りゃしねーよ」

なるほど。確かにそうなのかもしれない。
そう考えると、短絡的と思ったオッさんの意見は的を射ている。

「…なぁ、優」

「ん?」

僕とオッさんが並んで歩く後ろを黙って付いて来ていた宝さんが、僕の制服の裾を引っ張った。
立ち止まって振り返ると、宝さんは暗い面持ちで目を伏せていた。



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