生徒会へようこそ【MISSION4:幽霊の謎を解明せよ!】-7
『優!?今どこにいるんだ!?』
「第4多目的室の前だよ。女の人は、まだいる?」
『あ、ああ…まだ窓際にいるぞ』
ということは、この扉の向こうに間違いなく、いる。
「女の人一人だけだよね?」
『どうだろう…窓際以外は薄暗くて良く見えないから…』
もし誰かいたとしたら、手引きしたのかもと思ったんだけど…。
「鍵を開けてもらおう」
『オッさんに頼むのだな』
「うん」
オッさんはまだ遠くに行っていないはずだ。
「宝さんはそこから女の人を見てて。僕がオッさんを呼んでくる」
『分かった』
「それじゃ、よろしく」
僕はケータイをポケットにしまうと来た道を急いで引き返した。
オッさんは玄関を出たところで捕まえることが出来た。
「オ、オッさん!!」
「っな、お?何だ!?うおっ!!」
僕はグイグイとオッさんを校舎内に引き戻す。
「ちょ、止め…んだよ!!テメー、こら!」
「いるんです!今、紅が言ってた女の人がっ!」
「…は?」
「だから早く!早く来てください!!第4多目的室の鍵、開けてください!!」
「…あ、あぁ」
その時、僕のケータイが震えた。
液晶に宝さんの名前が表示される。
「もしもし?オッさん、捕まえたよ!今から第4」
『消えた!!』
電話の向こうから興奮気味の宝さんの声がした。
消えた…?
「消えたって…どういうこと!?」
人が消えるなんて…ありえない。
『時計を…見ていたんだ。幽霊が現れてからどれぐらいたったろうかと…。目を離したのは10秒もない。次に見た時にはもう…』
どういうことなんだ!?
たった数秒で消えた?
「…とにかく、そこにいて!また連絡するから」
鍵は…どうなってるだろう…。
もし鍵が開いていたとしたら、普通の人間だったことになる。
閉め忘れた部屋に入って、宝さんが目を離した隙に出て行っただけ。
しかし、鍵が閉まっていたら…。それは人間の所業じゃない。
鍵が閉まったままその場からいなくなるには、宝さんの言うように消えるか、壁や扉をすり抜けるしかない。
どちらも普通の人間には出来ない。
出来るとしたら…幽霊だけだ。