生徒会へようこそ【MISSION4:幽霊の謎を解明せよ!】-16
「そして、どうやって中に入ったか。…見方を変えるんです」
「見方?」
はい。僕は頷く。
「どうやって扉を開けたのか……答えは簡単です。その人は鍵を持っているから」
「何!?」
声をあげたのは宝さんだけだった。
「僕、ずっとオッさんの言葉が引っかかてました。『鍵をもっているのは三年生だけ』
『は一つ』
『一個になった』
…もしかして、もう一個あったんじゃないですか?」
三人の先輩方は口を真一文字に閉じている。
宝さんは目を泳がせて、必死にこの展開についてこようとしていた。
「そして恐らく、僕と宝さんが知らないメンバーがもう一人いたんじゃないですか?3年生、副委員長として」
あのクラスの女の子が言っていた。
3年生が委員長と副委員長を務める、と。
だけど僕が入った頃から、その人はウチにはいなかった。
男女一人ずつなのに3年生だけ男子一人というのも、今思えばおかしい状況だったんだ。
「本当に感なんです。証拠なんかありません。僕が言いたいのは、幽霊の正体。それは、第4多目的室の鍵を持ったまま生徒委員会を去った、副委員長なんじゃないかってことです」
「そう…なんですか?」
宝さんが小鞠さんの裾を引っ張った。
「優の言っていることは…正しいのですか?」
そんな宝さんに小鞠さんは曖昧に微笑んだ。
珍しくオッさんが俯いて、目を伏せていた。
「僕の考えが正しいかどうか、鍵を開ければ分かります」
「…乙」
キミさんがオッさんの肩を一つ叩いた。
「香住と宝にも、知る権利はある」
オッさんはしばらく無言で黙っていたが、ゆっくりポケットに手を入れて、小さな銀色の鍵を取り出した。
「…鍵、開けんぞ」
「はい」
鍵はゆっくり鍵穴に差し込まれ、半回転させられる。
カチリ…と小さな音が廊下に響いた。
開いたんだ。
カラカラと乾いた音を立てて扉がゆっくりスライドすると、そこだけ明るい窓際に佇む人がいた。
後ろで宝さんの息を飲む音がした。
「…やっぱりあなただったんですね?」
「やっぱり…?」
振り返ると宝さんの困ったような瞳が僕を見上げていた。
「宝さんは、もうこの人に会ってるよ」
「え?」
驚いたように目を見開くと、宝さんはもう一度その人に視線を向けた。
「かすみちゃん、寿絵瑠ちゃん、久し振りね」
その人がゆっくりと振り返る。
口元に手を当ててクスクスと可笑しそうに笑っていた。
「…お久し振りです。桂木 早羽さん」
横断歩道おばあちゃんの孫、桂木 早羽さんは、窓に背中を預けると、目を細くして僕達を見ていた。
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