龍之介・壱-9
「うっあ・・・あぁあああぁああああ!!」
「あぅぅん!龍くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」
姉さんの中に、欲望と、持っている愛情全てを注ぎ込んでいく−
射精している間もそこはうねうねと収縮し、根元から搾り上げて、もっと出す様に願っているみたいだった。
「もし、家族じゃなくて、恋人同士だったら、一緒になれたのに・・・」
「姉さん・・・?」
「私達・・・一体どうすれば、良かったんだろうね」
「・・・・・・分からない。どうしてこうなったのか、俺には・・・全く・・・」
小さい頃からずっと傍にいた、たった一人の姉さん。
好きだった。大好きだった。愛していた−
だったらどうして、この瞬間まで大事に出来なかったんだろう
いつかの様に、姉さんを胸枕させて、眠りについた−
翌朝、空は曇っていた。
一面に鉛の雲が広がり今にも落ちてきそうなくらい重く見える。
「じゃあ、行って来る」
「うん、私も」
一緒に仕事に出かけるのは久々だ。
もしかしたら、またここに帰ってこれるんじゃないかと錯覚を起こしそうになる。
「龍くん」
呼び止められたが、振り返らずに進む。
駄目だ・・・振り向いたら進めなくなりそうだ。行かなきゃ、もう戻っちゃいけない。
「・・・龍くん・・・」
急に、足を踏み出せなくなった。
姉さんが後ろから抱きついてきたのだ。
行こうとすると、自分のところに寄せようとしてくる。
「姉さん・・・」
振り返り、顎を持ち上げてキスを交わした。
舌は静かなままで唇を触れ合うだけのキス。
長かった。
もう離れたくない、お互いにその思いを込めた様な、長い口付けが終わる。
顔を背け、姉さんの手を振りほどいて、再び歩みだす。