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コンビニ草紙
【理想の恋愛 恋愛小説】

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コンビニ草紙 第二十四話-5

石段をのぼり、参拝をする。
隣で目を閉じて祈っている彼を見る。

何を祈っているのかな。
私も目を閉じてお願い事をする。

隣にいる草士さんと、ずっと一緒にいられますように。

目を開けると、草士さんは既に目を開けて、私が祈り終わるのを
待ってくれていたようだった。

「りょーこさん、お守り買ってきましょう。」

草士さんが境内の隣のお店に歩いていく。
お守りのコーナーを見ると、白い花が刺繍してある、小ぶりのお守りが並んでいる。
その中にストラップになっている物があるのを見つけた。

「これ、携帯のストラップにもなるんですね。」

私がそう言うと、彼が何か考えているような顔になる。

「…携帯電話って便利ですか。」

突然、彼がストラップ型のお守りをじっと見つめながら私に尋ねた。

「え…。携帯ですか。まぁ、一台持ってたら便利だと思います。
外でも通話が出来るし…。」

そう私が言うと、彼は通常のお守りではなく、
ストラップ型のお守りを2つ巫女さんに渡す。
そして1つを私に差し出した。

「あの、私も携帯電話、欲しいんすけど、今度一緒に行って選んでもらえますか。」

彼が少し赤くなる。
私は少しびっくりしながらストラップ型のお守りを受け取った。

これって、お揃いのストラップをつけようって事なのかな…。

そう考えて彼を見ると少し困ったような顔になる。
その顔がすごく可愛くて、なんだか嬉しい。
着物を着ているから年齢不詳だけど、良く考えれば、20代半ばで
彼はまだ若いんだ、と私は彼の年齢を思い出した。

「はい。喜んで。」

私が微笑むと彼は髪をかいて笑った。

このまま、今日が終わらなければ良いのにと思う。

私は少し息を吸って空を見る。
朝の曇り空が嘘のように快晴がどこまでも続いている。

「じゃあ、戻りましょうか。」

石段をゆっくりと下る。
私の手はしっかり彼に握られている。
石段を下るたびにお守りの鈴がなる。
リン、リンと二つの鈴が小さく響く。

今日の事が、ずっと素敵な思い出として二人の思い出になりますように。

鈴の音を聞きながら私は、そっと心の中で呟いて、
彼の手をしっかり握り返した。


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