立花さんの幸せ-3
「間抜け、屑、ボケ、アホ、無責任、女たらし、結婚詐欺師顔、今すぐしねっ!!」
『な、な、なんすか??立花さん・・・』
「また栞菜を困らせてみろ、あたしはおまえをぶっころす!!」
『立花さん、なにいってんすか、ふざけてます?』
「しねっ!!」
睡眠を邪魔された怒りと、それと同じくらい栞菜を困らせた事への怒りを一遍にぶつけた。
時間を見たら一時間は過ぎていて、すっかり眠気がどこかに行っていた。
「・・・ふう、あいつに任せて大丈夫かなぁ・・・」
どうも栞菜の事になるとむきになってしま・・・いや、あいつが彼氏だからかもしれない。
あんな尻軽適当野郎、私だったら間違っても選ばないよ。
栞菜は押しに弱いところがあるから、しつこさに負けたんだ。
・・・でも、今の栞菜はなんだかんだいって幸せそう。
自分に自信が無くてどこか笑顔がぎこちなかったあの子が、今やカメラマンに絶賛されるくらいだった。
ああ悔しいー。私じゃなかなか笑顔に出来なかったのに、あいつはあっさり栞菜の魅力を引き出しちゃったよ。
タレントの魅力を見い出せる才能は、マネージャーにとって無くちゃならないものだ。
ただ褒めればいいものでもないし、人によって輝き方は全然違う。
栞菜にとっては日比野の為に何かするのが幸せなんだ。
日比野の言葉はいまいち信用できないけど、多分あいつも栞菜と付き合うのが幸せだと思う。
私は、寝るのが何より幸せだけれど・・・
栞菜が日比野とうまくいってくれるのも嬉しいかな。中々難しいと思うけど。
その為には日比野をしっかり監視しとかないとね。
でもそれはまた今度。私は精一杯幸せを感じたい。
窓の外から、小さく道路工事の音が聞こえてきた−
〜〜おしまい〜〜