気付いたら…-1
「ゆなは貴也と付き合えばいいのに」
学食でお昼を食べていると、親友の夏美がとんでもない事を言ってきた。
「私が貴也と!?」
有り得ない…
私と貴也が付き合うなんて
「お似合いだよ」
ニヤニヤと話す夏美に私は一言返す。
「夏美だって大和とお似合いだけど」
「えっ!…大和は友達だから、付き合うとかは…」
夏美は大和の事が好きみたいだ。
「早く付き合っちゃえばいいのに」
大和も夏美の事が好きだって事は知ってる。
「私の事よりゆなの事だよ」
夏美は顔を真っ赤にした。
「はいはい…ほら、もう行こう」
夏美を促し食堂を後にした。
私と夏美と貴也と大和は小学校からの友達だ。
中学と高校は違ったけど大学で再開してそれからはほとんど一緒にいる。
私は貴也の事が好き…最近気付いた。
でも私の恋は叶わない
貴也と私が付き合う事はない
きっと貴也にはそんな気がないから。
一緒にいられればそれだけでいい
そんな事を考えていたある日夏美が急に旅行に行こうと言い出した。
「4人で温泉行こう!」
「温泉?」
夏美以外の3人はポカンと口が開いている。
「温泉かぁーいいね」
大和が夏美が持っていたパンフレットを見て言った。
「それじゃあ貴也の運転で行こうか」
「俺が運転するの!?」
「うん」大和が即答。
「しょうがないなぁ」
貴也はわざとらしいため息をついた。
4人で旅行…
楽しみかも
そして旅行当日
観光をして旅館に着いた。
和懐石料理を堪能して、温泉に入り、部屋に戻った。
部屋は一部屋を襖で分けた。
もちろん男女別で
初めはお酒を飲みながらトランプをして遊んでいた。
その内夏美が寝てしまい、3人で話をしていたが大和がウトウトしだした。
「大和、寝るなら向こうの部屋だよ。」
「うーん…」
珍しく大和が酔っている。
ゴロンと転がって寝てしまった。
「寝ちゃった…」
「おい、大和!」
貴也が揺すっても起きない
「しょうがないなぁ。」
私は布団をかけてあげる。
夏美も大和も寝てしまって急に静かになる
「お代わりいる!?」私は貴也の空いたグラスにお酒を容れた。
「ありがとう」
私は妙な緊張感からお酒をがぶがぶ飲んでしまった。
「…ゆな、大丈夫?」
「だいじょーぶだよ」
大丈夫じゃない…
「水飲んだ方がいいよ」
貴也が水をくれた。
「飲ませて」
「え?」
「貴也が飲ませて、口移しで」
私はもう理性を失っていた。