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コンビニ草紙
【理想の恋愛 恋愛小説】

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コンビニ草紙 第二十話-1

第二十話 雪ノ下祭―其の弐―


「じいちゃん、お帰り、早かったね…あれ、りょーこさん。」

彼は、なぜ私と一緒に居るのかわからないという風に、私とお祖父さんの顔を交
互に見た。

「このお嬢さんが雨宿りしてたから、連れてきてやったぞ。…全く、私の留守中
にこんな綺麗な人を店に連れ込むなんて。」

お祖父さんが悪戯っぽくニヤリと笑い彼と私を見た。

「…連れ込むって。じいちゃん言葉が悪いから。」

珍しく彼が困ったような顔でお祖父さんを見る。
やっぱりお祖父さんには頭が上がらないような感じなのだろうか。
お祖父さんの方は、そんなのお構い無しと言うように、彼の反応を見て楽しんで
いるようにも見える。

「…ああそうだ、まだお嬢さんに自己紹介していなかったね。私は藤本長次郎。
この藤本書店の主で草士の祖父です。宜しく。」

「私は坂本リョウコと言います。宜しくお願いしますっくしゅん。」

彼がお祖父さんの後ろに立っている私をじっと見て驚いた。

「りょーこさん!びしょ濡れじゃないですか。今手ぬぐい持ってきますから。」

そう言うと彼は慌ただしく二階にかけていく。

「手ぬぐいで拭いただけじゃ風をひいてしまうかもしれない。とりあえず着替え
を探して見るから私達も二階に上がりましょうか、リョーコさん。」

お祖父さんはにこりと微笑むと番傘をドアの前に立て掛け、二階に上がるように
私に手招きをした。

お祖父さんの言う通り、このままでは風邪をひいてしまいそうだ。
だけどこの家に洋服の着替えなどあるのだろうか。
無さそうな気がする…。

とりあえず私も冷たい洋服をさすりながら二階に上がることにした。


―――――


二階に上がると手ぬぐいが棚からごっそり抜かれたようにちゃぶ台の上に積み重
なって置かれていた。

「りょーこさん、とりあえずこれで髪の毛とか服とか拭いてください。私は何か
暖かい飲み物でも作ってきますから。」

彼は頭をかきながらまだ慌てた様子で台所の方に消えていった。

「…全く騒がしい奴ですな。リョウコさん、拭いただけじゃ気持ちが悪いでしょ
う。今着替えをもってきてあげましょう。失礼ですが身長はおいくつくらいかな
。」

「…えっと164cmです。でもそんな、お構い無く…。」

「そうか。それなら大丈夫そうだ。ちょうどサナもそのくらいの丈だった。」

お祖父さんは私の話はそっちのけでにこにこしながら隣の部屋に入って行った。
二人とも出ていってしまったので、仕方がないので一人でちゃぶ台の前に座り、
彼が用意してくれた手ぬぐいで頭を拭いた。

服は乾いてきたものの、生乾きの服を着ているようにじめじめしている。



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