『君と、はじめて。』-1
夜中に目が覚めた。美優と一緒に寝るようになってから一月が過ぎた。
一緒に寝る…というか、美優は1ヶ月前にロープで首を吊りかけた。そこを、俺が助けた。
『美優…お願いだから生きてほしい。美優のことが大好きだ…すごくすごく、大好きだから、美優がいなくなるのは嫌だ。今は余裕ないかもしれないけど、一緒にたくさん、楽しい時間を過ごさないか?』
美優はただただ、泣いていた。その後に、ロープを一緒に外して、手を繋いで帰ってきた。駅に向かう途中も、ホームで電車を待っていても、ふらっと飛び出していきそうで。
家に入ると、また、美優は泣き始めた。
「ごめんなさい。『大好きだ』っていってくれるチーフを悲しませちゃいけないですよね…」
泣き終えてから、ポツリと言った。
『付き合ってください。って言ってましたね?私で良いなら』
その後、ふとした瞬間にまた、行動に移してしまわないように、こうして美優はベットに、俺は床に寝ている。
―雑魚寝はよくやるけど、1ヶ月連続はさすがに節々が痛い。
「尚哉さん、一緒にベットで寝ませんか?」
美優を見たら、起きて側にいた。
「いいの?」
「痛そうにしているの、見てられません」
3拍沈黙して、美優が手をひいた。
フカフカベッドがこれほどありがたいものなんて。と心底思った。
「美優さ?」
「なんでしょう?」
「ベッドに俺を入れて良かったの?不安じゃないの?」
美優が目を閉じてクスッと笑う。
「襲われないか不安じゃないの?ってことですか?私は尚哉さんと付き合って1ヶ月、たくさん優しくしてもらいました…だから、私も何かあげたいなって思って。でも、何あげようかなって考えて、考えたけど私の持っているものって全然ない。だから…」
「だから?」
「バージンをあげます」
びっくりした。美優がしっかりと俺を見ていた。美優がゆっくりとおでこにキスをする。
「スタイル良くないけど、許してくださいね」
「…ないって使っちゃダメだよ。その言葉、自分をダメにする」
―美優はたくさんいいものを持っているのにッ!
両手で、優しく抱き締めてから、キスをする。息ができない程の、ディープキス。
―それが、合図。
舌を絡める。くちゃくちゃと艶かしい音をたてる。腕を絡める。足を巻き付ける。
ふと思い付いて、ライトを全開でつける。