『君と、はじめて。』-4
「…あんっっ」
声が…出てしまった。
「かわいい声…よく鳴けました」
下着の中に指をいれた。クチャ…と音が鳴ったような…気がした。
「下着を濡らしちゃ穿けないよね…中見せて?」
サイドの紐に手をかけてそっと、そっと下ろしていく。恥ずかしさで顔から火が出そう。耳朶が…熱い。
下着が足からとられて、体全部露になった。もう、恥ずかしくて泣きたい。ころっと転がってベッドにうつ伏せる。
「…恥ずかしい…」
「見せてよ」
「嫌」
小さい胸も、身長が高いことも。小さいお尻も。メリハリのない体も。薄すぎる下の毛も。すべてが嫌だった。プールの授業でも、温泉でも、周りのみんなを見て羨ましかった。
コンプレックスが剥き出しになって。すごく嫌で、嫌で。
「私、全部脱いで、尚哉さん一枚も脱がないのって不公平じゃないですか!」
「そう?じゃあ…」
立ち上がって、後ろ向きになった。シャツをたくし上げると背中が…肩が…腕が…脚が見えた。
―チーフって確かに細いけど…こんなに華奢だったっけ?
全部脱いで、一緒に横たわる。その動作を、私は瞬きしないで見ていたらしい。
尚哉さんが溜め息をつく。
「華奢で、高校生としてるみたいってよく言われるんだよ。後ろめたいって。小さい頃のあだ名が「チビ」「豆もやし」「メリーちゃん」だったんだ。高校の時に背が伸びるっ。もっと体つきもがっしりする…と思ってたんだけどね」
髪を撫でてくる。
「結局、全然変わらなかった。それでも、色々頑張ってみた。縮毛矯正かけたり。体鍛えたり…コンプレックスの塊。嫌で嫌でしょうがなかった…ね?こっち向いて?」
頑なに顔を伏せた。
「…そっか。体鍛えたり、いろいろしたけど、結局体を壊して、やめちゃった。その時に身の丈に合った生き方しないとなーって思った」
お尻ををそっと撫でる。小さいけど、温かい手。
「コンプレックスをずっと気にしていて、嫌だ嫌だーってずっと思ってたんだけど、それをやめたら随分楽になったし、自分これでもいいんだーと思ったんだよね。…美優と同じじゃない?」
不意に太股の付け根を吸われた。
「ぎゃーッッ!」
反射的に仰向けになってしまう。
「よーやく振り向いてくれた…アンダーヘアが薄いの気にしていたの?」
―視線がグサリ。と刺さってると思った。