囚われからのプロローグ-36
「……この、ムッツリ」
「――はい」
「……?――っ?ひゃんっ!」
頷いたパスクへと疑問の眼差しを向けたアリスだったが、突如、その身を襲った悦楽の刺激に悲鳴してしまう。
挿入してから、大分経っている。
痛みは――まぁ、それほどではなく、代わりにとてつもない快感が脳髄を刺激した。
――ぐちゅ、ぐちゅ……ずちゅ、ちゅ……
何度か達し、そして、男を受け入れるには万端の年頃のアリスだ。
パスクの熱き肉槍が出入りするたびに、えも言えぬ快感が全身を走った。
「ひゃっ、や、……はん、ああっ、ぅあ、はぁっ……」
「ああ……アリスさんのが、私にっ……絡まり、熱く、溶けるようにっ……」
「だからっ、ひゃんっ……かいせつを、するなぁっ、はぁ、んんぁ!」
「私、アリスさんをっ……愛してますッ、心からっ!」
「ふぁ?んゃ、なにをぉ、んっ?」
突然の愛の告白にアリスは情欲とは別の理由で、耳まで赤くなった。
――告白には時と、場合と、タイミングがあるだろうっ!
そうは思っても、アリスは嬉しかった。
十三年も前、偶然にも出会い、自分が彼に名を与えた。
彼は、自分を守ってくれた。
その『名前』のために。
生まれたときから当然のように持っていたアリスには『名前』の価値など分からなかったが、それでも、当時、幼い身ながらも彼へと何かができていたことが嬉かった。
祖国は征服されたが、自分も、主君も生きていることが嬉しかった。
パスクに再開し、保護され、愛されていることが、堪らなく嬉しかった。