囚われからのプロローグ-34
――ズ、ズズッ……
アリスは先ほどの指などとは比べ物にならない圧迫感に、苦悶の声を上げる。
それは呻くような声だった。
パスクは、心底、アリスの身を案じたが、ここで止めても苦しませるだけだと、一気に挿入した。
「ぐ……くぅ…………ぁ、ぅ……んぁ……」
「……あの、アリスさん」
奥歯を噛み締めて声を殺し、無意識のうちに抱きしめたパスクの背に爪を立ててしまったアリス。
そんな彼女へとパスクはそっと語りかけた。
「……ぐ……な、なんだ?」
「あの、奥まで……入りました」
「そ、そうか……」
昔、初めては痛いと聞いたことがあった。
そのため、アリスは激痛を覚悟していたのだが、言うほど痛みはなかった。
――まぁ、痛くないわけではないが、死ぬほど痛いというわけではない
アリスは肩すかしを食らった気分で、心の中で情報源の実姉へと悪態を吐いた。
だが、パスクは腑に落ちない、と言う。
「……初めての、女性にはその……膜があると、聞いたことがあるのですが……」
「――っ!そうだ、処女膜はっ?」
アリスはあわてて、繋がっている下半身へと――躊躇の後――目を向けた。
すると、目の端にギリギリ映るくらいにしか見えなかったが、少なくとも『破瓜の血』は流れ出ている雰囲気はなかった。
アリスは青くなって、パスクへと言った。