囚われからのプロローグ-30
「――だ、大丈夫ですか?」
「あ、ああ……平気だ」
「ですが……」
「大丈夫だ。私は気にするな。続けろ」
「……はい」
アリスは訊ねられても、素直に気持ちよかったなどと言えるはずもなく、少々、高圧的に続行を求めるしかなかった。
――「優しくしろ」と言ったり、「気にするな」と言ったり、面倒くさい女だと、自分でも思った。
が、仕方がない。
なにせ、初めてなんだ。
だから、パスクは嫌わないで欲しい。
そんな思いを込めて、パスクへと欲求に震える眼差しを向けるが、伝わるはずがない。
しかし、根本的にアリスを嫌うという思考のないパスクには杞憂であり、『魔人』は再び、今度は、しっかりとアリスのソコへと手を忍ばした。
――くちゅり……ぷ、ちゅ……
「ぁ、は……ん……あぁ…………」
アリスは背筋を駆け抜けた快楽という電撃に全身を痙攣させた。
ただ、その表面をなぞられただけだ。
なのに、どうしようもなく――気持ちがいい。
「……アリスさん。濡れています。そして、暖かい」
「ふぁっ?……んっ、い、いちいち……んぁ……報告するなぁ……」
「ですが、本当に……」
「う、うっさい、んひぃ……はぁ、ぅ………………ッッ!?ひぃぁ、ああっ!」
アリスは嬌声を上げ、思わず、その腕で身体を抱いた。
そのアリスの淵へ、あふれ出てくる愛液を塗りつけるように、なぞっていたパスクの人差し指が突然、なんの予兆もなく侵入してきたのだ。