囚われからのプロローグ-26
――魔導師のクセにこの男は、なぜ、これほど身体能力が高いのだ?
そこは男と女、筋力に差はあるのは当たり前だが、アリスは理不尽なモノを感じざるえない。
「……ぁんっ……ッ!〜〜っ」
パスクの指の攻撃範囲が外腿から内腿へと移動した瞬間、アリスはピクンと身体を震わし、口から悦びの声が漏れてしまった。
思わぬことに、アリスは唇を噛んで、悲鳴を抑えようとする。
これまでに一度も、考えたことすらなかったが、それほど、内腿は敏感だった。
アリスの態度から、彼女の快感を感じ取ったのだろう、パスクは軽く掻くようにアリスの太股を膝から、付け根まで、撫で回した。
しかし、決して、彼女の一番敏感なところへとは触れようとしない。
それが、もどかしく、アリスを堪らなくさせた。
「んっ……ぅ、っ……ぁ、あっ、ん…………」
しかし、堪らなくなったからといって、その欲求を口に出すことはアリスにできるはずもなく、気持ちよくも、決して満足できない刺激に晒され続けた。
欲求の溜まったアリスは色欲に濡れた瞳でパスク――意地の悪い『魔人』を睨む。
丁度、パスクと目が合ってしまい、ハッと視線をそらせた。
だが、一度目があってしまったことには変わりなく、アリスの意識がパスクへと集中する。
腕での攻めを続けながらも、ゆっくりと、パスクが顔を自分の顔へと寄せてくるのが分かった。
再び、視線を向けたアリスの視界一杯にはパスクの端整な顔が広がっていた。
そして、
「――んっ、ふぅ」
そっと唇を重ねられる。
パスクは巧妙で、上唇を吸ったり、歯茎を舌でなぞってみたりとアリスの予想外な行為をしてくる。
構えていないタイミングで、考えもしない箇所から与えられる快感にアリスは翻弄され、そして、魅了されていった。