囚われからのプロローグ-25
「は、外します」
「〜〜!い、いちいち、言うな……」
「す、すみません……では……」
パスクはアリスの左右の腰骨辺りにある、下半身部の鎧の留め金を外した。
ガチャリ、と重たい音を鳴らして、スカートタイプの鎧は主の身から離れる。
中からは、黒いストッキングに包まれた細く締まった、カモシカのような下半身が現れた。
ムワッ、と篭っていた熱気が放散され、パスクは「ゴクリ……」と喉を鳴らす。
だが、そのとき、パスクはあることに気付いた。
「あ、あの、アリスさん……下着は?」
「…………、〜〜っ」
アリスは瞳を潤ませて、小刻みに震えた。
しかし、赤くなった頬から怒っているのではなく、恥ずかしがっていることが分かる。
「ああ……」とパスクは胸中で頷いた。
きっと、侍女か、服を選定した者かが気を利かせて、下着をあえて履かせなかったのだろう。
――自分には決して、そのような嗜好があるわけではないのだが……。
どうも『魔人』という字から、乱暴な性行為を想像されているようだった。
そう考えたパスクだったが、両腕で顔を隠して、恥辱に耐えるアリスを見ていると、少し、苛めてみたくなった。
――自分には嗜虐心があるようだ。
周りの想像どおり……。
「…………きゃっ?パ、パスク、なにをっ?」
恥ずかしさのあまり、顔を隠していたアリスは突然、太股から刺激を感じ、悲鳴をあげた。
見ると、脚はガニ股に開かされ、パスクはストッキング越しに太股を撫でていた。
右手の五指で、それぞれ文字を書くようにスゥー、と撫で回す。
アリスはとっさに股を閉じようとしたが、それはパスクの左腕に阻止されてしまう。