囚われからのプロローグ-15
「ふふっ……こんな貴女の顔、誰も見たことがないでしょうねェ」
跨った状態でアリスの頭部を両手で押さえ、腰をゆっくりと前後させるパスク。
アリスはその暴挙を阻止しようと舌でソレを押すが、結果はパスクを悦ばせるだけだ。
「んっ、ふぅ……む、くぅぅ……ちゅ、んふ……」
――くちゃ、くっちゃくちゃくちゃ…………
それはただの蹂躙だった。
パスクはアリスに己を示すように、塗りこむように腰を打ち込んでいく。
口は塞がれてしまい、どうしても鼻で息をしなければならないアリスは、その『性』の臭いを鼻腔で感じなければならず、それがまた、恥辱を上塗りしていった。
アリスはパスクを睨むが、その上目使いが男を堪らなくさせるということを知らない。
「んんっ?ふっ、むっ、んっ、んっ……」
パスクの前後運動が、突如、速くなった。
限界が近いのだと、アリスは本能で察する。
口内に出されるのだけは――、と思ったものの、アリスにどうすることもできない。
「……口の中と、顔――どちらが良いですか?」
「ッ!」
パスクの問いに驚き、アリスはその男の顔を見る。
迫りくる快感に耐える、強張った顔だった。
「しゃべれませんものね……では――口ですか?」
己の問いの根本的な失点に気が付いたパスクは両手を離し、再度、質問をする。
コレならば口を塞がれたままでも、首を前後左右に振ることはできるだろう。
アリスも緊急性を帯びた問いだ、質問自体の正否はともかく、口内は勘弁願いたい。
首を横に振ろうとした。
だが、そこで一旦、考えてみる。
――この男は本当に『自分が答えたほうに』射精するのだろうか?
今までの言動を顧みて結果、答えは否だった。
アリスはあわてて、首を縦に振った。