囚われからのプロローグ-10
「ふん、ゃっ……くっ、あっ、うんっ……はぁっ、ふぅ……」
「なんだ。感じているんじゃないですか――ちゅぷ、ふふっ……いい格好ですねェ」
「な、にを……んんっ!はぁ……くぅ……」
アリスの耳元に唇を近づけ、パスクは囁き、そして、その耳を愛舐する。
幼子がイヤイヤするように首を振るアリス。
彼女のその栗毛の髪がフワリフワリと宙を踊った。
――パチッ……パチンッ……
「ッ!――い、いやぁっ!」
突如、室内に木霊した金属音にアリスは驚き、その発生源を知ると今まで一番の悲鳴をあげた。
パスクは愛撫を中断すると、アリスの鎧を外しにかかったのだ。
器用に左手一つで留め金を外していくパスク。
逃れようにも、魔導師らしからぬ強力で抑えつけられたアリスにはなすすべがない。
そして――、
「……ほぅ?中は下着だけとは……侍女が気を利かせたのか、それとも、もしや、いつも?」
「断じて違うっ!普段は服を着ているっ!」
「ふふっ……あえて、否定するところが、なんとまぁ……」
「なんだとっ――っと、ちょっと待て。し、下着は……」
「湯浴みはすませたのでしょう?恥ずかしがることはない……」
「やめっ――」
胴体部の鎧を脱がし、現れたのは紫色の下着のみを纏ったアリスの雪のように白い柔肌。
その肌も今は汗ばみ、上気している。
恥辱に頬を染めるアリスだったが、パスクの攻撃は止まることをしらない。
右手でアリスの両腕を持ち上げ、左手で背中側の下着の結び目を解いたのだ。
アリスはこれまで生きてきて、感じたことない羞恥に絶句し、右の二の腕に顔を埋めるようにして、視界を暗くすると震えた。
だが、それでパスクが満足するはずもなく、アリスの正面に回ると押し倒した。