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過ぎ行く時の中、残されるモノ
【ホラー その他小説】

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過ぎ行く時の中、残されるモノ-1

 暗がりの中、僕は明かりを求めて歩いていた。
 ここはどこだろう?
 わからない。
 気付いたらここに居たんだ。
 薄暗く、ひんやりとした、生臭さと鉄くささのあるこの場所に……。
 ここに来る前、僕は普通に皆と遊んでいた。
 夏休みの終わったばかりの学校で、久しぶりに会う友達と日焼けの見せ合いっこと、どこへ遊びに行ったかを自慢しあっていた。
 始業式が終わってさあ帰りましょうってなったんだけど、急に懐かしくなった僕らは、放課後のグラウンドでサッカーをしていた。
 夕暮れ時になり、時計を持たない僕らは「日が落ちるまでは五時前」と言いながら、ボールを追っていた。
 そのあと、見回りの用務員さんに怒られたのと、時計がもうすぐ六時になるのを見て、急いで下校した。
 僕は忠志と一緒に帰ったんだ。家が同じ方向だし、それがいつものことだった。
 でも忠志の奴、まだ遊び足りないのか、ネットに入ったボール蹴りながらあっちいったりこっちいったりしてた。
 そんなこんなで、いつもより余計に時間がかかる。けど、一度日が落ちると、辺りは一気に暗くなる。暗くなった通学路は、いくら毎日通っていても怖い。
 心細くなっていた僕らは、いつの間にかお店や車の明かりに惹かれるように歩いていた。
 いつもの通学路を外れた僕らは、いつの間にか知らない建物ばかりの道を行き、……気付いたら僕は一人でここに居た。
 暗くてじめじめしてて、生臭くて、鉄くささと土の臭いのする場所。
 なんか目の前がちかちかする。起き上がるのも辛いけど、僕は近くに忠志がいないことを知り、慌てて名前を呼んだ。
 何度も呼んだ。
 でも、返事はない。
 この辺りにはいないのかもしれないし、探しにいこうと思い、何か明かりが無いかと思って僕はランドセルを探した。
 そしたら、自由工作に使っていた紙粘土の蛍に豆電球がついてたんだ。
 僕はそれをつけて、周りを照らそうと思った。
 けど、無理だった。
 豆電球の明かりは僕の顔をぼーっと照らしただけで、閃光花火のようにすぐに光が弱くなった。このまま無意味に電池を消耗してはいけないって思って蛍をしまった。
 そしてまた暗がりになった。
 このままここに居るべきなのかな?
 それとも、どこか出口というか、来た道を探すべきなのかな?
 でも、僕はどうしてここに居るのかわからないんだ。
 思い出そうとすると頭が痛くなるし、身体がとにかく疲れている。サッカーのしすぎかな。でも、そういう疲れじゃない。わき腹とか右足とか痛むし、変に息苦しい。
 忠志が気になる。あいつもここに居るのかな?
 僕は酷く痛む右足を引きずりながら歩いた。


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