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過ぎ行く時の中、残されるモノ
【ホラー その他小説】

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過ぎ行く時の中、残されるモノ-10

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 不思議なことなのだろうか。
 僕は僕であったものが在った場所から、あんまり遠くに行きたくなかった。
 理由は多分、孝仁が言った言葉が原因だ。
『大切なことからだんだん忘れていく』
 今一番僕に大切なこと。
 それは、僕が死んでいること。
 そのためには多分だけど、殺されたであろうこの場所を意識する必要があるんじゃないかな?
 たまに通りに出たりして新入りも探すけど、自分の名前をふと思い出せなくなる。
 その時は急いでこの場所に戻る。
 もし忘れたときは、隆とでもなのろう。
 確か、そんな名前だったし……。

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