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最後の夜
【女性向け 官能小説】

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最後の夜・後編-19

姫様はそんなジャスパー様を見てもちっとも動揺していなかった。
まるでそうなる事が分かっていたかのように…

まさか…という思いでいたけれど、ジャスパー様が成長するにつれその疑惑は確信に変わった。
どちらかというとナイーブで温厚的なルーク様と姫様。
でもジャスパー様はとても活発で野生的なお子様だ。

いったい誰に似た?
そんなの一人しかいない。そうよね、ロイ…

ロイは宮廷庭師として仕事を続けていた。
ジャスパー様の事に気づいていないわけないと思う。
何よりジャスパー様をはじめて見た時のロイは、一瞬息を呑んでいた。

ジャスパー様はどういうわけかロイの事を気に入っていて、よく庭に遊びに行った。
ロイの方も仕事の手を休めてジャスパー様の相手をしている。とても愛おしそうに…


あの夜から姫様とロイはお互い目を合わさず、口を聞かず、もう6年過ぎた。

でもいまだにロイは特定の女性をつくらない。
そろそろ結婚したら?という周囲の声に「俺はいいんだ」と笑って返事をしている。
独身貴族を貫くと心に誓っているようだ。


たぶん、もう一生二人の線が交わることはないと思う。

でも、二人と私はきっと一生秘密を抱えて生きていくことになる。

あの最後の夜に芽生えた秘密を――


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