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下校途中の寄り道
【学園物 官能小説】

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下校途中の寄り道 -1

9月になったというのにまるで真夏のような残暑が残っていた。
W高校では昨日の金曜日に始業式が終わったばかりだ。今日は土曜日で
この暑さから熱中症対策のために部活は全て休ませるようにM県教育委員会から
通達が出されており、W高校もそれに従ってこの日の部活は中止となった。
土曜の授業は午前中までで午後はそのまま全学生は下校となった。
2年D組のこの日最後のホームルームの前の教室ではサッカー部の野村正之が
他のサッカー部員と机を囲んでの談笑が行われていた。話はドラマやバラエティ番組、
アニメの話ばかりだったが次第に部活の話となっていった。
1980年代後半の頃の高校生は携帯電話を持っておらず、
教室と家からの固定電話が情報交換の場であった。
「しかし暑いなあ。これでミニゲームなんかやったらぶっ倒れる奴が出てくるぜ。」
「でも試合も近いのに練習が出来ないってものなあ。」
そんな他愛のない話をしていたら担任の畑中が入ってきた。
「起立!礼!」
教室にいた学生全員が自らの机に戻り、立ち上がって畑中に礼をする。
ホームルームは淡々と終わり畑中の一言でその日のD組の授業は終了となった。
「よし、では今日はゆっくり休んで来週に備えてくれ。では解散!」
クラスにいた生徒達が教科書などをバックに入れて帰ろうとする。
正之もバックに教科書を入れていたら隣にいた正之の恋人で
陸上部の岡崎順子が正之にささやいた。
「じゃ・・・校門で待っているから。」
「ああ、わかった。」
これから正之と順子は制服姿のままでデートをするのだ。

野村正之は1年生だったころ中学の行き過ぎた管理教育から
女性教師に不信を抱いていたが、当時の副担任だった篠原佐和子の
夏休みの「筆おろし」によりその不信を払しょくし、
さらにあれだけ入学したくなかったW高校を愛するようにもなった。
そして佐和子に恋心も抱いたのだ。しかし正之の中学時代の教師の相次ぐ嫌がらせや
暴行、さらには佐和子のかつての恋人だった中学時代の教師の策略により二人の間には
何度も危機が訪れたものの、佐和子が機転を利かせてそれを撥ね退けた。
その矢先に佐和子は交通事故で他界した。愛する人を失った正之は佐和子の告別式の
帰りに自殺しようとしたが、正之を見続けてきた順子によって救われた。
順子は正之と佐和子が肉体関係にあるのをうすうす勘付いていたのを正之に告白、
正之を家族が誰もいなかった自らの自宅に招き、そこで正之に処女を捧げた。
順子にとって正之は初めての男であり、少女から女となったのだ。
そしてそれは佐和子が望んだ結末でもあったのだ。
以後二人は付き合い始めた。といっても教室では会話する程度でクラスや
サッカー部では噂になったが二人は全く意に介さない様子だった。

「お、正之。これから岡崎とデートか。」
同じサッカー部で相棒でもあるゴールキーパーの本間が笑いながら冷やかしに話しかける。
「違うよ。ただ二人でゲーセンとか行くだけだよ。お前こそこれから誰か女を家に呼ぶのか?」
正之が笑い返しながら話す。正之は自分でも公言するぐらいの冴えない男だったが
本間は肌も黒く、筋肉質のいかにもスポーツマンという感じの男子高校生だった。
「ああ、まあな。しかしお前自分で冴えない男とか言っていたくせにしっかり彼女が出来たよな。」
「だからそんな関係じゃないさ。」
クラスや部員との噂を意に介さない正之だったが
順子と恋人の関係にあるのを必死に否定した。照れ隠しとかいうのではなく
肉体関係にあるのが学校にばれるのを恐れたためだ。順子と話し合って決めた事だった。
佐和子との関係が結局順子にばれてしまった事からの教訓だった。
噂話なら根拠も証拠もないと強弁できるからである。もっともその試みは
全く効果がなかったわけなのだが。


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