生徒会へようこそ【MISSION"3"おばあちゃんを捜索せよ!】-9
「ならば、そのお婆様のお宅に行ってみればいいじゃないか!寿絵瑠も付き合おうっ!」
「…え!?でも」
でも家分かんないし。と言うよりも先に宝さんは前回同様、一人で先走る。
「そうと決まれば早い方がいいな。よし、今日だ!今日の放課後お伺いしてみよう!授業が終わり次第すぐに向かうからな!忘れるでないぞ!」
言うやいなや、宝さんは僕の教室を出て行った。
まるで嵐が去った後のように、心臓がバクバクしている。
「話の内容はイマイチ分からないけど付き合うがどうのこうの…」
「えぇっ!?それは無いでしょ!」
「あの宝 寿絵瑠と空気じゃ…」
「でも空気と一緒に帰るって」
「だからって空気とは付き合わないでしょ」
とりあえず、現時点でハッキリしていることは、僕のアダナは『空気』に決まったらしい。
最後の授業を知らせるベルの音が余韻を残している。
「優!行くぞっ!!」
ガラリとドアが開いて宝さんが登場した。
さっき授業終わったばっかりなのに…。
「あっ、あの…あのね」
そんなに張り切っても家が分からないことを伝えようとするが
「何をぼんやりしているのだ。ほら!」
僕は腕を引っ張られ、クラスメイトたちの視線を背中に感じながら、廊下を引きずられる。
「あの、宝さん…あの、その…」
「さぁ!さっさと靴を履け!」
「え、あ…うん。でも」
「ぇえい!焦れったい!」
「ぅええっ!?」
既にフライングスタートしている宝さんに僕の話が届く訳が無い。
宝さんは僕をその場に乱暴に座らせると、ざっくりと靴を履かせ、また腕を掴んで校舎から出た。
「さぁっ!どっちなんだ!?」
目をキラキラさせながらキョロキョロと左右を見渡している。
「あ、えと…右…だけど…あぅわ!」
ぐぃんと腕がもげそうなぐらい引っ張られる。
やっぱり僕が口を挟める雰囲気では無く、そんな感じで例の道路へと到着した。
「ほぅ、なるほど。この横断歩道が今までは無かったのだな。それが不思議なほどの車の交通量なのにな」
「…あ、うん。そう、なんだけど」
とにかく左腕が痛い。
右と左と腕の長さが変わったんじゃないかと思う程、僕の腕はダメージを受けた。