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生徒会へようこそ
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生徒会へようこそ【MISSION"3"おばあちゃんを捜索せよ!】-8

来週会えばいいや。そう思っていた。
けど、次の週も次の週もまた次の週も、おばあちゃんはいなかった。

「優」

ポンと肩を叩かれ、ここが教室なんだと思い出した。
僕を「優」と呼ぶのは宝さんだけだ。
クラスは違うのにどうしたのかと思って振り返ると…

「……」

振り返ると…

「最近元気が無いな。生徒会にも顔を出さないで。どうしたというのだ?」

振り返ると、宝さんが少し距離を取って優しく微笑んでいた。その手には、柄の長い箒を握り締めて。

「……宝さん」

「何だ?洗いざらい話してみろ」

「僕は素手でさわれないほど汚れた物体ですか!?」

「そんな小さなこと気にするでない。それよりも先輩たちも心配していたぞ」

小さなことなんだ。
宝さんは僕がアレだと完全に信じ切っているみたいだ…。
ひどい…酷だ。
それでもわざわざクラスに来てくれるってことは、本当に心配しているんだ。

「…うわ、宝 寿絵瑠だ」

「すげー。こんな近くで見たの初めて」

「つか、何で宝 寿絵瑠があんな空気みたいな奴と?」

「つかあいつ誰?」

「へー、ウチのクラスにあんな可愛い顔の男子いたんだ」

僕と宝さんを中心に半径二メートル以内には誰もいない。が、そのボーダーラインを越えると、まるで見せ物のようにクラスメイト達が群がって好き勝手に言っている。
聞こえてますけど、君たち。
自分でも地味だとは思ってたけど、ここまで存在感が無かったなんて…切ない…。
しかし宝さんはそんな声を全く気にする様子も無く(そもそも彼女の耳には聞こえてないのかもしれないけど)、空いていた距離を少し縮めて、僕を爛々と見つめている。

「さぁ、寿絵瑠に言ってみろ。生徒会の一員として、貴様の悩みを解決してやるぞ」

「あ…あのね、おばあちゃんがいないんだ」

「ほう。おばあちゃん、とは優がこの間話していたご老人のことか?」

「うん。月曜日はいつも、同じ時間同じ場所にいたんだ」

「…ふむ」

「それなのに、ここ数週間いなくって…」

「……うーん、ご友人とお茶を楽しんでいると言ったな。曜日や時間が変わったということでは無いのか?」

「もしそうなら…、あのおばあちゃんは僕に何か言ってくれるような気がするんだ。最後に別れたのもいつも通りだったし…」

「しかし優…」

「他人だからって思われるかもしれないけど、おばあちゃんは僕を見て嬉しくなるって言ってくれたんだ。ただの他人だなんて思いたくないんだ…!」

「…うん」

宝さんは腕組みをして難しい顔をしていたが、いきなり花が咲いたような笑顔を見せた。
瞳がキラキラと輝いている。


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