生徒会へようこそ【MISSION"3"おばあちゃんを捜索せよ!】-6
「行っちゃった」
「行ったな」
「完全にナベしか見えてなかったな」
「…はっ!優は否定していたが、やはり…」
「自分の本質は隠したがるものだ」
「…うぅっ」
職員室に入る直前の渡邊先生を見つけ僕は叫んだ。
「すぇんすうぇぇぇーっ!!」
「げっ…香住!」
身構えた先生に僕は抱き付いた。
自分でも残念な奴だと思う。ほら、周りの視線が痛いし。分かってるんだ。
でもね!
これは抱きつかずして何をしようか!
「先生っ!ありがとうございますっ!オッさん達に聞きましたっ…!!僕、停学にならなくていいんですね!?」
露骨に嫌がっていた先生も僕の言葉を聞いて、少し顔を綻ばせた。
「お?やっとバレやがったか」
「はい…その…ありがとうございました!」
ここで僕は、やっと離れて深くお辞儀をする。
すると渡邊先生は乱れた髪を整えながら
「礼ならお前自身に言えよ」
と言った。
「はい?」
どういうこと?
「月曜日の最初の授業が始まるとな、決まって電話が鳴るんだ」
…電話?
「相手は毎回同じバアさん」
「…はあ」
「バアさんはいつも『ありがとうございます。助かりました。優しい生徒さんをお持ちなのね』って嬉しそうに話すんだ」
……え?
その『バアさん』って、もしかして…。
「最後に『迷惑を掛けてごめんなさい。ありがとう。と、かすみちゃんにお伝えください』って電話が切れる」
間違い無い。おばあちゃんだ!
何だろう。
心がきゅうっとして、くすぐったくて温かい。
とても、とても嬉しいはずなのに、目頭が熱くなる。
こんな気持ちは初めてだ。
「…おばあちゃん」
渡邊先生はフッと微笑むと職員室の扉をガラリと開けた。
しかし中には入らず扉に手をかけ、首を少しこちらに向けた。