生徒会へようこそ【MISSION"3"おばあちゃんを捜索せよ!】-4
僕は隠すだけ無駄だと思って、おばあちゃんのこと、遅刻のこと、渡邊先生との約束のこと、全て洗いざらい吐き出した。
「…貴様」
宝さんの様子がおかしい。おかしいというか…恐ろしい。
いきなり宝さんが立ち上がって、僕はびくんと体が跳ねた。
大体、予想はしていたけれど…。
「貴様は遅刻を堂々とするような愚か者だったのか!貴様の顔など見たくもないわ!くたばれっ!」
ひぃやぁぁぁ!やっぱりこうなったぁぁぁ!
バッと宝さんが拳を振り上げる。
「……ひっ」
身構える。身構える。身構え…あれ?
身構える僕の身には何も起こらない。
恐る恐る目を開けると、拳を振り上げた体勢のまま宝さんは僕を見下ろしていた。
「が、しかし、例えば寿絵瑠がその立場になったとしたら貴様と同じことをしていただろうな」
宝さんは短く息を吐きながら、ゆっくりと腰を下ろす。
ふぅ、助かった。
「オッさん、キミさん、小鞠さん…本当にすみません…」
黙って僕の話を聞いていた三人は顔を見合わせる。
「謝られても…ねぇ、キミちゃん」
「そうだな。今更だよな」
二人の先輩たちの言葉は僕の心臓にぐさりと刺さる。
覚悟はしていたのに痛い。
そしてオッさんが真剣な顔でこう言った。
「っていうか、知ってたし」
…………んなっ!?!?
「なぁ!そんなこと今更聞かされてもなぁ!たいして驚きもしねぇよなぁ!」
「同じ話二回言われただけだからねー」
「言い損だな」
ぇぇええええっ!!
ピシピシと自分の体にヒビが入っていって、そのまま崩れちゃうんじゃないかと思った。
「な…どうして…ですか!?」
抜け殻になった僕のかわりに、宝さんが代わりに聞いてくれた。
「だって、ナベってその道路使って通勤してんだぜ?入学したばっかのころ、毎週月曜日にバアさん背負った生徒とすれ違うっつってな」
な、何ーっ!?
「ああ。これを利用すれば生徒会に入れられるかもしれないと言ってたな」
脅された?僕、停学をエサに脅されてた?
「そぉそぉ!弱み握ってね!キャハハハ…!」
小鞠さん、全く笑えないんですけど…。
僕は…選ばれたんじゃない。ハメられたんだ…!!
「ぅうわあああぁぁぁんっ…!」
僕は机に突っ伏した。