生徒会へようこそ【MISSION"3"おばあちゃんを捜索せよ!】-17
「なぁ、優」
沈黙に耐えかねたのか、ヘタレな僕に耐えかねたのか、ピタリと宝さんの足が止まった。
「は、はい?」
また僕は何かしたのかと、今度は違う意味でドキドキしてくる。
「早羽さんは…綺麗な人だったな」
はい?
「そ、そうだね」
宝さん、いきなり何言ってんだ。
「優は…優は、あのような人が好きか?」
宝さんは俯いていて、あまり表情が分からない。
好き?好きって?
「…ん、まぁ」
嫌いではないし、本当に綺麗だと思うけど…。
宝さんは何が聞きたいんだ?
僕のハッキリしない答えでは宝さんには不服のようで、がばっと顔をあげると僕の目を真っ直ぐに見つめた。
「そっ、それともやはり優は渡邊先生が好きなのか!?」
またその話に戻る!?てか本気で信じてたの!?
「だーかーら!あれは先輩たちが悪ノリしただけなの!」
口を真一文字に結んで宝さんはまだ僕を見つめる。
「渡邊先生には感謝してるけど好きとかじゃないから!」
「では早羽さんを!?」
「違う!何でそんな発想になるの!今日初めて会ったのにどう好きになればいいんだよ」
「………そうか」
宝さんはそう呟くとふにゃりと顔を綻ばせた。
その反応を見て、僕がアレであるという誤解が解けたのだとほっとした。
「あの、宝さん、僕の家こっちなんだけど…」
僕はT字路の左を指差す。
「宝さんの家って…?」
「んーここから歩くと一時間ぐらいだろうな」
宝さんは人差し指を顎に当てて考えていた。
一時間て…。でもここは男として言わなきゃいけないセリフがある。
「あ、あの、宝さん…あのさ」
こんなセリフ初めて言うよ。
バクバクと心臓が破裂しそうだ。声が震える。
「ん?」
「あの、ね。その僕、僕…」
「どうした?」
勇気だ。勇気を振り絞れ、僕!
「僕、家まで送るよ!」
「いや、心配には及ばない!」
拒否られたー!即行で拒否だー!
「もう呼んである」
─キッ。
「お嬢様、お待たせ致しました。さ、お車へ」
「じゃあな、また明日学校でな!」
そりゃリムジンには負けますわー!