生徒会へようこそ【MISSION"3"おばあちゃんを捜索せよ!】-15
この女の人の名前は桂木 早羽というらしい。たぶんおばあちゃんのお孫さんだと思う。
大学生ぐらいかな。背が高くてスラリとした綺麗な人だ。
「生徒委員会の宝 寿絵瑠です」
「宝?もしかして、あの宝石店の?」
「はっ!なぜすぐに分かったのですかっ。学校でも隠し通しているのに」
「え!?そうなの!?」
つい宝さんの方に身を乗り出してしまった。
全然バレてるよ!?みんなにバレてるよ!?どの辺に隠し通せてると思い当たる伏があんの!?それに、名前を聞けば誰だって分かると思うよ!?オーラとか凡人と違うし!
「へー、生徒委員会なんだ」
早羽さんが目を丸くした。
あれ、早羽さんはどうして…。
「そっちの気の弱そうな子は?」
気の弱そうなって…まぁ、そうだけどさ。
「あ、僕は同じ生徒委員会で香住 優っていいます」
「かすみ?」
早羽さんは僕の名字を繰り返した。
「もしかして、うちのおばあちゃんをおんぶしてくれるかすみちゃん?」
ということはこの家で間違い無いんだ。
「はい」
僕は頷いた。
そして、なぜここに来たのか経緯を簡単に話した。
「…女の子だと思ってた」
僕らの話を聞いて、早羽さんは残念そうに目を伏せた。
「かすみちゃんたちには、せっかく来てくれたのに悪いんだけど、おばあちゃん、今病院に行ってるの」
病院…。妙子さんが言ってたことは本当だったんだ。
だけど、そんな僕の心中とは裏腹に早羽さんはにこっと口角を上げた。
「大丈夫、ただの風邪よ。年老いてくるとただの風邪でも長引いちゃって」
そんな暗い顔しないで、と早羽さんは僕の肩をぽんと叩いた。
「それに、病院て言ってもお薬貰いに行ってるだけだから。ほとんど治ってるし安心して」
「あ…はい」
「良かったな!」
宝さんがこちらを見てニコニコと笑っていた。
僕もやっとつっかえが取れたような、清々しい気分になった。
「ありがとうね」
ふいにそんな声が聞こえ、早羽さんの方を見た。
早羽さんは優しく微笑んでいた。
「実際、この1ヶ月ぐらい具合悪かったのかあんまり外出してなかったから。おばあちゃんたらね『かすみちゃんが待ってないかしら』ってあなたのこと気にしてた」
キュッと心臓が掴まれたような、そんな気がした。