生徒会へようこそ【MISSION"3"おばあちゃんを捜索せよ!】-14
「でも、最近体の具合が悪いとか言ってた気がするわ…」
宝さんは前を見据えて胸を張って歩いていた。
辺りはもう、オレンジ色になりかけている。
宝さんの横顔が金色の光で縁取られていた。
ふいに宝さんが顔を向けた。
「大丈夫だ。案ずるな」
ふんわりと微笑む。
心にかかった靄が少し薄くなった気がした。
「ん、ありがとう」
軽く頷いて僕も笑って見せると、宝さんはもっと目を細めてくれた。
「さて…地図によるとこの辺りなんだが、ああ、ここだ」
一度地図に目を落として、宝さんは一件の家の前で立ち止まった。
一階立てで木造の古い昔ながらの小さな家だ。
この辺りは、そういう家が多いらしい。
石の塀が家の周りを囲んでいて、木で出来た表札は若干灰色がかっており、この家の時代を感じさせた。
薄くなってはいるものの『桂木』という字が見て取れる。
間違いないようだ。
チャイムは見当たらなかった。
「優、平気だ」
そう言う宝さんの言葉に僕は頷いて、曇りガラスの引き戸を叩いた。
叩く度にガシャンガシャンと戸が揺れた。
「ごめんください」
中には聞こえているであろう声を出す。
だけどしん…として、人がいる気配が無かった。
せっかくここまで来たのにおばあちゃんと会えないのかな。
そう思って引き返そうとしたその時、微かにカチャリと鍵が開く音がした。
僕と宝さんは顔を見合わせた。
「…はい?」
戸がゆっくり開いて数センチの隙間から女の人が顔を除かせた。
なんだか険しい顔をしている。
「あっ、あの!ぼ、僕は…ですね」
女の人は僕をまじまじと観察するように見ている。
その威圧感に僕の口はなかなか言葉を発せられなかった。
が、女の人の顔がぱっと明るくなった。
「あ、その制服、繚乱高?」
ガラリと戸が全開になった。
「あ、はい!…そうです」
「何年生?」
「いっ、1年です!」
「なぁーんだ。良かった!」
え?
「どうしたの?何か用事?」