生徒会へようこそ【MISSION"3"おばあちゃんを捜索せよ!】-12
「…あ、もしかして」
もしかして僕たちは根本から間違ってるんじゃ…?
「優?何か分かったのか?」
宝さんが不思議そうに僕を覗き込む。
僕は振り返った。
『神楽茶道教室』と書かれた窓が目に入る。
二階建てで洋風の小さいビルのような建物だった。入り口は脇にあるらしい。
僕は宝さんに答えもせず、ずんずんと奥に向かっていった。
「あ、おい!優!」
慌てた様子で宝さんは僕に付いて来る。
三段ほどの階段があってその先にドアがあり、その右上には『KAGURA』という表札。そして呼び鈴。
「ほう。ここは教室兼自宅だったのか」
僕たちは気付かなかったんだ。
道路に面した『神楽茶道教室』と書かれた窓と風貌で、見落としていた。
「それが、どうかしたのか?」
僕は躊躇せず、その呼び鈴を押した。
「あ、あぁ。そうか。そうだな、このお宅にも聞いてみないとな」
すぐに室内から「はーい」という声がして、鍵が外される音がした。
ゆっくりドアが開いて、30歳前後の着物を着た女の人が顔を除かせた。
「…どちらの生徒さんかしら?」
女の人は不思議そうに首を傾げながらも、優しく微笑んだ。
宝さんがにっこり笑う。
「突然の訪問失礼します。繚乱高校の宝 寿絵瑠と申します。こちらは香住 優。少々おたずねしますが、この辺りにお妙という名前のお婆様はいらっしゃいませんか?」
すごい。完全に余所行きモードだ。
そういえば、すっかり忘れていたけど宝さんは社長令嬢。今の宝さんは誰が見ても、完璧な御令嬢だ。普段はアレだけど…。
「お妙…さん」
案の定、女性は首を捻った。
「ごめんね、分からないわ」
やっぱり。
「違うよ、宝さん」
「違う?何が違うのだ」
「こう聞けば、たぶんすぐに分かったんだ」
僕は女の人を真正面に捉えた。
「お妙というような名前の女性を知りませんか?その人は趣味か何かでお茶をされてるんですけど」
「…あぁ、それなら」
女の人の目尻が下がった。
「私かしら」
「えっ!?」
ほらね。
驚きの声を上げたのは宝さんだった。