生徒会へようこそ【MISSION"3"おばあちゃんを捜索せよ!】-11
「…直接、お婆様の自宅へ行くのは無理なようだな」
「う……ごめん」
謝り癖がついているのか僕は宝さんに謝ってばかりだ。
「ではとりあえずお婆様のお友達の『お妙ちゃんの家』へ行ってみるか。優、そこは分かるのだろう?」
「…えっと…大体は…。直接家に行ったことは無い、から…」
おばあちゃんはある角まで差し掛かると「ここでいいよ。ありがとう」と言って、僕の背から降りていたという旨を宝さんにビクビクしながら伝えた。
宝さんは呆れたように溜め息を吐いたが、自分の頬をパシパシと気合いを入れるように叩いた。
「なるほど生徒会の仕事とは簡単には行かないものだな。優が使えないなどと思ってはいかん」
…え?僕が悪いんですか?
「お婆様のお宅の前に『お妙ちゃんの家』を探すぞ!来い、優!!」
「ぅえ!?ぅあああっ、はいぃ!」
僕はぐいっと首根っこを掴まれて引っ張られていった。
僕は道行く人に手当たり次第に尋ねまくった。
「お妙さんというお婆さんを捜しているんですけど、知りませんか?」と。
宝さんはこの辺り一帯の家のチャイムを一件一件鳴らして、同じようなことを聞いて回っていた。
一時間後、待ち合わせ場所として決めていた茶道教室の前で落ち合った。
「どうだ?見つかったか」
「ううん、何も…。宝さんは?」
「寿絵瑠も同じだ。『この辺りにお妙という名のお婆様はいらっしゃいますか』と聞いても、帰ってくるのは『知らない』という答えばかり」
宝さんは残念そうに息を吐いた。
僕も同じだ。
みんな首を捻って「分からない」と答える。
この辺りの家というのは間違い無いのだけど。
「なぁ優。本当にこの辺なのか?」
「うん。僕はいつもここでおばあちゃんを下ろしてたし」
「…そうか」
それっきり僕らは何も喋らなくなった。無駄に時間が過ぎて行き、日が傾いてくる。
だけど、いくら考えてもおばあちゃんの家はおろか、この辺にあるはずのお妙ちゃんちは見つかるはずも無く…。
『お妙ちゃんの家でお茶をやるのよ』
まるで、耳元でおばあちゃんの声がした気がした。
『お妙さんというお婆さんを捜してるんですけど、知りませんか』
『この辺りにお妙という名のお婆様はいらっしゃいますか』
続いて僕と宝さんの声が頭の中で反響した。
そして…。
何かが見えた気がした。