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JoiN
【コメディ 恋愛小説】

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JoiN〜EP.3〜-3

「・・・・・・」

まだ空が暗くなりきる前に、こうしてベッドに座るのは変な感覚だった。
いつもは真っ黒な汚れがびっしり付着した襟も、今日はあまり汚れていない。
無造作にスーツを一色脱ぎ捨てて洗濯機にも入れず散らかし、裸で横になった。


「する事がねえ・・・」


どうしても嫌なんだよな、こういう時間。1人で部屋の中にいるっていうのが・・・
最近は耐えられる様にはなってきたけど、まだ小さい頃から苦痛だった。
さっさと明日にならないかな。そしたらまた仕事でいっぱい色んな人と喋れるし。

寂しさを持て余す姿は、あまり他の人には見られたくなかった。

(へえ、お前変わってるな。マネージャーに向いてるかもしれねえな)

同僚によく言われる言葉が頭をよぎる。
誰かと話してないと病気になりそうだと周りによく言っているが、当然寂しいのが嫌だとは話していない。


俺にはこの世で嫌いなものがあるんだ。
砂糖入りの甘い卵焼きと、話し相手がいない空間、この二つ!


「!!」


電話が鳴って、反射的に開いていた。
誰でもいいから悩める俺を助けてくれ。出来れば女からの電話がいいが、贅沢は言わない。

「・・・・・・え?」

画面に表示された名前を見て首を傾げてしまった。
何かの間違いかと数回瞬きをし、目を擦ってから見直したが、確かにその名前が表示されている。
一体どうしたんだ、向こうから電話してくるなんて。いつも俺からだったじゃないか。

「もしもし?」

戸惑いつつも通話ボタンを押す。何故か指先が微妙に震えて、冷たい様な感覚だった。

『あ、日比野さん?良かった、出てくれた』

栞菜の声が聞こえてくる。心無しか、いつもより少しこもった様に聞こえた。
普段はかけてこないのにどうして・・・?そうか分かったぞ、そういう事か!
出たのを喜んでるのがその証拠だ、間違いない。栞菜はついに俺と付き合うのを決めたんだ!

「栞菜からの電話に出ないなんて有り得ないさ。例え寝てても起きるぞ」
『え、じゃあ寝てた?駄目だよまだお仕事中でしょ』
「今日は早く帰れたんだ。一年のうちに何回かあるんだよ。それで、栞菜からかかってくるの待ってたんだ」

今回ばかりは予定を蹴られて良かったと思った。まさか、デートの最中に電話に出るわけにもいかないからな。
今まで星の数ほどの女に愛を注いできたが、複数同時にした事だけは無かった。
一球入魂、一所懸命、それが俺のモットーだからな。


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