君の瞳に恋してる・V-2
「お…はよ、海さん。なんかいつもと違って…」
「違って?」
「…いや、いつにも増して可愛いです」
「ヘヘ…アリガトウ!デート仕様だもん♪」嬉しそうに目を伏せた。
なんだか胸の奥がきゅうっとする。
「聞かなくってイイんだよな…」
「え?」
振り向いた海の頬に手をやり、こちらを向いたまま固定する。
その一瞬で視線が絡んで瞳が潤み、目を閉じた。
ジューシィな唇を優しく塞ぐと、ぷるっとした瑞々しい感触が気持ちいい。
海の下唇を優しく噛んで口内に舌を侵入させ、海の舌を絡めとる。
舌と舌が合わさるだけで脳に快感が走る。
ヌルっとした舌を吸って息継ぎをし、また唇を奪おうとすると…
「…っせ、先生!待って!!」
胸を押し戻された。
「いま朝だし、ここ公衆の道路だしっ!」
はあはあと息をしながら頬を染める海の言葉で正気を取り戻した。
「あっ、あっ、すみません!」背筋を変な汗が伝う。
これじゃ盛った動物じゃないか…
「センセ、クチべとべとだよ」
加持のクチはグロスでテカテカ光っていて、海が笑いながらハンカチで口元を拭ってくれた。
なんか僕いきなり失敗してる??
「先生、行こう!」
「…ハイ」
少し肩を落とし車を発進させた。
海は加持に気づかれないよう小さく溜め息をついて、膝を擦り合わせた。
――約1時間のドライブの後、目的のショッピングセンターに到着。
車を降りると海が手を差し出してきた。
「…あ、の?」
「手繋ぎたい」
ああっ!そういう事か!
「ハイ」
海の手をそっと握った。
ドキンと胸が鳴る。
手を繋ぐ以上の接触を何度となく繰り返しているのに、手が触れ合っているトコロが熱くなる。
街中のカップルが手を繋ぐ理由が分かった気がする。
海が満面の笑みで「行こっ」と加持の手を引いた。