君の瞳に恋してる・U-4
「言って下さい、海さん」
先生の匂いが胸に広がる。
あの日先生に触れて、この匂いをもう1度味わいたいと思ってた…
でも先生の腕に包まれて、余計に胸が苦しくなる…
「…あたし…バカだから勝手に悲しくなって…」
「なにが…?」
「ハハ…迷惑とか、かけるつもりナイんだ、ホント…」
「だから、何がですか?」加持の腕が少し強くなった。
「……先生が髪切って、なんか、人気でたじゃない?それで…他にも先生を好きって子が出てきたらどうするのかなって」
「どうって…」
「あたしみたいに準備室に入れてくれて、お茶淹れたりするのかなって…」
「……」
「そう考えてたら…なんか…ちょっとね…ハハ……」
加持が海を抱いていた腕をほどいて、海の瞳を覗き込んだ。
加持の左右色の違う瞳に海が映る。
「あの、海さん。僕は勘違いしてました?」
「え?なにを?」
「僕は、こういうのには疎いので、自分なりに責任とってたつもりだったんですが…」
「…?」
「僕たち、その…付き合ってたんじゃないんですか?」
「……」
一瞬言葉の意味を理解できなかった。
「え゛えっっ!?」
海は変な声が出た。
「始まりはあんなカタチでしたけど、海さんは僕を好きだと言ってくれたし、僕なりに応えてたつもりなんですが…」
「え…いつ応えてたの??」
「二人で過ごしたり、お茶飲んだり、専用のマグ買ったり、家まで送ったり…こういうのって付き合ってるって事じゃないですか?」
そうなの?いや、その通り?
そういうのって付き合うってことだけど…
「で、でも!先生、あれからあたしのコト抱いてくれないし!!」
「や…それは…どうすればいか分からなくて」
「分からない…?」
「海さんに隠しても仕方ないですけど、僕、初めてだったんです」
「え?なにが?」
「…だから、その、セックスが……だからしたいんですけど、どう誘えばいいか分からなくて…」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
加持は茹でダコのように顔を赤く染めていた。