フォール-7
変わらないな、柚は。
周りが変わっても、私が変化しても、柚はいつもあるがまま・・・だね。
私を飛び込ませたいなんて、いつから思い続けてたんだろ。
かなり昔からだとは予測できるけど、もう実現したから聞くのは野暮かもしれない。
私が誘いに乗ったのは、柚と普段あまり話してないって負い目があったから・・・かな?
「姉ちゃんなら受かるよ。俺が保証・・・」
「・・・なんでそこでつまるの。はっきり言いなよ」
「やめた、保証できない。俺のせいにされたらやだもん」
呆れて何も言えないわ。
仰向けのまま、暑苦しい弟の顔から空の方へと目線を切り替える。
飛び込み台から見上げたよりも、少しだけ遠くなった雲が、何処までも広がっていた。
初めて見た時と恐らく何も変わらない、そしてこれからも変わる事は無いだろう。
〜おしまい〜