唯高帰宅部茜色同好会!(第三章)-2
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「来週の球技大会、野球でしょ?」
放課後、いつものように机を囲んでどうでもいいことを話していた俺たち茜色メンバーだが、突然思い出したかのようにマリィが言った。
「……だな」
今日の体育のことを思い出して、それだけで暑くなる。
「勝算はあるの?」
「ねーよ」
「なんでよ」
「お前なぁ、去年の見てなかったのか?」
去年の種目はバスケットボールだった。
出場するのは五人だから、バスケはまあまあ格好のつく内容だったと思う。
とは言っても一勝もできずに終了。
俺達三人はフル出場で死ぬような思いをしたが、残り二人がダメダメだった。
誰を使っても、スポーツなんてやる気がない、できないやつらで構成されたガリ勉クラスだからしょうがないが。
「去年があんなだったのに今年は野球、九人だぜ?無理無理」
「キスケ、あんた勝ちたくないの?」
「勝ちたくても無理だろ」
「甘いわよ!!男なら勝ちたいと思うのが普通でしょ!?勝ってみせなさいよ!」
そう言いきると、マリィはバシッと机を叩いたのだった。
activity.03
球技大会
「……マリィ、また何かに影響を受けたのでしょうか」
「今ちょうどスポ魂ドラマがあってるからそれじゃないかなー」
サキとアイサの小さな声は、隣にいる俺にしか聞こえていないようだった。
「……マリィ、最近どうしたんだ?やけに張り切るな」
ユーリが缶コーヒーに口をつけてから言った。
「確かに、やけに恋愛ネタを推すと思ったら今度はスポ魂って」
「…あたしは…ただ、何でもない普通のことを楽しいことに変えたいだけよ…」
マリィは少しの沈黙の後、顔を赤くしながら言った。
だが、なんだかその言葉には痛く反応してしまった。
マリィ、それで最近頑張ってるのか。
マリィらしいな。