君の瞳に恋してる・T-3
「はァ…先生のキス、すごく気持ちいい」
どちらともなくもう1度唇を重ねようとした瞬間――
キーンコーンカーンコーン
「!!」加持がビクっと身体を離した。まるで夢から覚めたような感覚だった。
「ちぇ、残念♪」と言い机から降りて、眼鏡を手渡した。
「先生、また来るね」ガチャっとドアを開けた。
「あ、星野さん!」
「うみだよ。海って呼んで?じゃね!」ニコっと笑いながら手を振り部屋を出て行った。
「…僕はなんてことを…」
よりにもよって教え子に欲情するなんて…
海の濡れた瞳が頭に浮かんだ。そして唇の感触も…
加持は自分の唇をそっとさわった。
ガラガラッ
隣の化学室にガヤガヤと生徒達が入ってきた音が聞こえた。
加持は「あ゛あぁぁぁっ!!」と顔をブンブン振って頭からさっきの出来事を追い出した。
海は教室に向かって早足に歩いていた。すると後方から「海!」と声をかけられた。
「結花!」
「あんたどこ行ってたの?お弁当食べたらいなくなっちゃうんだもん」
「あ〜、ちょっとね。ハハハ…」
「…海?」
「ん?」
「あんた顔真っ赤よ?」
「え゛っ?!」
海の顔は茹でダコのように赤くなっていた。
あ〜なんか今さらドキドキしてきた…
さっきはちょっとやりすぎたかな?無我夢中だったし…
でも、
近くで見る先生の瞳はほんと綺麗だったな…
それにキスも…
唇をそっとさわる…
はやくもう1度先生にふれたい――