君の瞳に恋してる・T-2
「星野さん?!」ビックリして椅子から落ちそうになった。
「あたし知ってるのよ?先生の目の事」
「えっ!?」
「ねえその髪、隠してるんでしょ?その目の事」と言って加持の長い前髪を両手で左右の耳にかけた。
「んなっ!?何するんですか!?」加持は顔を真っ赤にして抗議した。
海がのぞきこむように加持の瞳を見つめる。
「先生、なんで隠してるの?その目」
すべてを見透かされているような海の瞳に素直に答えていた。
「…子供の頃いじめられたんですよ…気持ち悪いって。子供は正直ですから…」眼鏡の上から茶色い瞳を手で覆い、自嘲気味につぶやいた。
「どうして…?」海がそっと加持の瓶底眼鏡を外した。
「あっ!!返して下さい!!」
眼鏡を後ろ手に隠してしまった。
加持は極度の近視のため遠方はからっきし見えないが、近場を見るには支障ない。目と鼻の先に海の顔がある。
「先生の目、こんなに綺麗な瞳なのに…」
優しく微笑んだ。
加持の胸が早鐘を打つ。
な、なんなんだ?!僕はからかわれているのか??
「先生、私、先生のこと好きなの」
「ええ?!」
口をあんぐり開ける加持を見て、クスっと海が笑った。
「嘘じゃないよ?本気で好きなの、先生…」
「ほっ、星野さん?!」
海の顔が近づいてくる。唇の先で止まり、加持の瞳を見る。
「ほっ――」
「黙って?」
海はそのまま目を閉じて加持の唇に唇でそっと触れた。
小鳥がついばむ様に音を立てて、2回3回とくちづける。海が加持の唇を開放する。
「好き…センセ…」
海と加持の間にとろりとした空気が流れた。加持は海の濡れたような瞳に心がざわめいた。
「好き…」
真摯な海の言葉に、自然と身体が動いた。
海の腕を掴み引き寄せ、今度は加持からキスをした。
「んっ…」
海の歯を舌で撫でて、かすかに開いた歯の間から更に奥に侵入する。
濡れた海の舌にくちゅりと舌を絡ませた。
海の舌は、水を得た魚のように積極的に加持の舌を受け入れる。待ってましたと言わんばかりに…
息継ぎの為にちゅっと唇を離すと、きらきらとお互いの舌を繋ぐように糸が引いた。