恋を知りたい-9
"好き"
"好き"
"………好き"
心の中で言葉にするたび、一層胸が熱くなる。
…ごめん、ごめんね先生。
迷惑かけてごめんなさい。
でも、どうしても触れたかったの。
きっと、もう二度と触れられないから。
一度でいいから、錯覚でもいいから、あなたを手に入れたかった。
鞄を腕の中でぎゅっと抱きしめて、時計を見た。
下校時刻十分前…
もう少しここにいたい。
今だけここで、夢心地でいたい。
---私はいつもみたいに想像した。
先生と私が恋人として一緒に過ごす時間を。
だけど、やっぱり上手く思い浮かべられなかった。
確かめる様に唇に触れて、ため息をつく。
先生の唇と、くっついた唇。
なんだか現実の方が夢みたい。
---…痛い…。
痛い…?
なんで…痛いの?
今までとは違う、この痛くて苦しい感覚。
私は困惑の中で、心が何か大きく動き出したのを感じた…---