恋を知りたい-2
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毎週の数学の小テスト。
私の企みも恒例になっている。
導き出した解答に不必要な3を足して回答欄に記入した。
ほんの10問のテストを終えて、手持ち無沙汰になった指で前髪をくるくると丸めた。
…ふと、用紙の下にぽっかりと空いたスペースに悪戯心を覚えた。
"問11 先生の好きなタイプはどんな人ですか?"
余白に丁寧な字で書き記すと同時に、先生が終了の合図をし、テスト用紙が回収された。
私はちらりと先生を見てから、クラスメートの真似をしてわざとらしく体をのばした。
次の日のテスト返却時、私は場違いな期待感を持ちながら、自分の名前が呼ばれるのを待った。
わくわく。
わくわく。
「畑本。」
「あ、はい。」
テストを返されるとき、じろりと睨まれて、なんだか嬉しくなる。
そっと開くと、下の空白に先生の赤ペンの字。
"テスト用紙に落書きはしないこと"
私はテストの脇から、やる気のない表情で軽く首を回しつつクラスメートに答案を返す先生を、片方の目で覗き見た。
やっぱり、だなぁ。
ちょっと残念だけど、先生が答えてくれなくて、どこかほっとしてる。
だって…きっと私には当て嵌まらないから。
私はもう一度、こっそり先生を見つめた。
先生、なんで額にキスしたんですか?
背中に尋ねて、何気なく前髪を撫でた。