たとえばこんな恋の話-10
2回の射精で完全に体力を奪われた俺は横を向きながら加絵に腕枕していた。
赤ん坊のようにまるくなって向かい合って見つめう。
「崇、すごく気持ちかった。生きてるうちにもっとしとけば良かったな」ニヤリと笑う。
加絵が俺の頬にそっと手を置く。
「ねえ、崇。私を抱いてくれてありがとう」
「加絵…」
「冥土の土産ができた」
「………」
「崇」
「………」
「あの時、牛乳くれて、あり」
「ちょっと待て」頬を包む白い華奢な手を掴む。
「崇?」
ベットから手を伸ばして携帯を取る。着信履歴から見慣れた番号にカーソルを合わす。発信ボタンを押す。
「崇?何して…」
「あ、麻耶?寝てた?こんな時間に悪い。ん?ああ見たよ。返さなくてゴメン」
ふうと一息つく。
「麻耶、悪い。俺好きな子できた。別れよう」
電話の向うにで麻耶がぎゃーぎゃー叫んでたが、ブツ切りして電源をオフにした。
しばらく電源入れるの止めよう。
「崇、何してんの!?」加絵は飛び起きて信じられないといった顔で俺を見る。
「ん?聞いてなかった?彼女と別れた」
「聞いてるよ!!なんで別れるの?!」
「なんでって…好きな子ができたって言ったじゃん」
「んな…っ…なっ…」可愛い口をわなわなさせる。
「お前だよ、加絵」
加絵が息を呑んだ。