木曜日-2
「ねぇねぇ律子さん。今日の数学の問題で僕と賭けしない?」
「賭け?」
ジュンがそう言って、私に屈託のない笑顔を向ける。
「うん。もしも僕が全問正解したら、律子さんのすべてを貰えるっていうのはどうかな?」
「すべてって…すべて?」
「そう…律子さんの全部ってこと…」
そう言ったジュンは柄にもなく照れて、耳まで真っ赤に染めてしまった。
やだジュン…そんな顔されたら、私までドキドキしちゃうじゃない。
いつもの私だったら、「何言ってるのよ!」と冗談で済ませていたところだろう。
だけどこの時の私は、まるで悪い熱に浮かされたみたいに、「ジュンに抱かれてみたい…」と思ってしまったのだ。
「いいわよ。ジュンが全問正解したら、私のすべてをあげてもいいわ」
この一種異様な状況に、高揚感すら覚え始めた私は、気がつけば彼の瞳を妖しく見つめ、OKを出していた。
「おっしゃーーっ!!」
うちの廊下にジュンの歓喜の雄叫びが響き渡った。
賭けの結果は…驚いたことにジュンの勝ちだった。
この日の為にこっそり勉強していた彼に、私はまんまとはめられてしまったのだ。
「律子さん…心の準備はいい?」
「えぇ…いいわ」
ジュンがリビングのソファーに並んだ私の肩を引き寄せ唇を重ねてくる。
火傷しそうなほどの熱い彼の唇が私に触れた瞬間、私の頭はジーンと痺れていく。
やん…この感じ…好き。
チュッチュッと音をさせ、下唇をついばんでいた彼が、スルリと私の口内に舌を滑り込ませてきた。
熱い唇と対照的な、その冷やりとした舌の感触に、私の体がピクンと反応する。
「ふぁ…んんっ…ジュン…」
私の口からは吐息と共に甘い声が漏れた。
それがジュンの欲望を刺激し、目眩がするようなキスに2人を駆り立てる。