警部補 少年係-8
事情聴取3回目開始。録音。
カチャカチャカチャ(電話番号を押す音。)プルルルー
「はい、もしもし。」
「あの、天留川警察ですけど。」
「はい。」
「やっぱり、もう少し詳しく知りたいし、家伺わしてくれへん?」
「それはちょっと仕事上の都合で無理です。仕事だって忙しいし。(怒)」
「はい、じゃ〜分かりました。」
ガチャ(電話を切る音。)
下中巡査部長をはじめとする数人の刑事と会話。
「家来られることにすごい抵抗感じてる。」
「嘘ついてるからや。多分来るっていう発想はない。」
「若干怒ってるみたいやし、5分ぐらいたってからもう一回かけてみよ。ほんで拉致あかへんかったら(あかなかったら)3人で行こ。下中、大野。私服に着替えといて。」
「はい。」(二人同時に言う。)
犯人の顔をちゃんと認識しているか確認するための顔写真を山田が準備する。一つは交番の掲示板や駅などに貼ってある物と同じ五人組の顔写真。もう一つは、全く事件と関係がない警察関係者などがまざっている一二人の顔写真だ。別の犯人から斎藤安行に挿しかえる。
「よし。じゃーとりあえず、もう一回だけかけてみよ。」
山田が言う。
事情聴取4回目開始。録音。
カチャカチャカチャ(電話番号を押す音。)プルルルー
「はい、もしもし。」(低めのずぶとい女性の声。)
「清子さんいてはりますか?」
「はい。私ですが……。」
「先ほど、お宅から清子さんの名前で東京連続殺人事件の犯人見たって通報あったんですが…。」
「え?そんな覚えありません。今買い物から帰ってきたばっかりやし。あなたいったいどちら様ですか?」
「警察です。清子さんの名前で110番通報あったんですけど、多分娘さんかと思います。」
「えっ?娘がそんな大事件の犯人見たって通報したって言うんですか?」
「はい。17時6分で110番通報の記録残ってます。」
「あなた何者?本当に警察ですか?警察やって言うんやったらどこのですか?」
「天留川警察です。刑事ですよ、刑事。」
「じゃ〜天留川警察やって言いはるんやったら(言われるんでしたら)、電話番号言うて下さい。(怒)」
「○△□の一二三四です。」
「○△□の一二三四ですか。じゃ〜娘に確認してもう一度かけ直します。」
「はい。待ってます。」
ガチャ(電話を切る音。)
下中巡査部長をはじめとする数人の刑事と会話。